「採用通知書」は企業側が採用選考合格者に採用する意思があることを伝える重要な書類です。
「内定通知書」と意味合いが似ているので混同してしまいますが、両者とも法的に必要な書類ではなく、両方とも作成しない企業やどちらかだけで済ませる企業もあります。
ただ、採用選考に合格した内定者へ明確に採用の意思があることを伝え採用辞退を避けるためにも、きちんと段取りを踏んで「採用通知書」と「内定通知書」を発行する必要があります。
「採用通知書」の意味と「内定通知書」との違い、効力と発行のタイミング、必要事項と基本テンプレートまで、10年以上新卒採用と中途採用を担当している社会保険労務士資格を持つ大手企業の人事部管理職が採用通知書を発行する企業側の目線で解説します。
採用通知書の意味と書き方、発行した場合の効力は?
「採用通知書」は正式に採用することを伝える書類です。
「採用通知書」を発行した段階でまだ法的な効果は生まれませんが、採用選考に合格した求職者が”入社したい”という気持ちが高まるような内容にしましょう。
書き方に法律の決まりはありませんが、以下のことを含んだ文書にしてください。
1 あて名
2 日時
3 採用が決定したこと
4 入社日
5 入社日までに採用ができなくなる場合の例
(学校を卒業できなかった・刑事罰に問われた・経歴に虚偽があった 等)
書類と一緒に
来たけど
採用通知書って字をみると
うれしいなぁー🥺🥺🥺
頑張ろう!と思う٩꒰๑`・ω・´๑꒱۶ pic.twitter.com/C99FzpicNy— めめ🐶 (@haruharu_901) November 16, 2020
このように、求職者のモチベーションアップにつながるような採用通知書を送りましょう。
採用通知書と内定通知書の違い
「採用通知書」と「内定通知書」は似ていますが違います。
「内定通知書」は求職者が内定したことを伝える書類で、雇用契約締結と同じ効力が発生します。
採用通知書と内定通知書の関係
まず選考を終えて合格した求職者に「あなたの採用が決定しました」と伝えるのは「採用通知書」
「採用通知書」を受けとった求職者が入社する意思を固め採用承諾書を提出します。
求職者から採用承諾書を受け取った企業が「内定通知書」を発行します。
この段階で求職者と企業側の双方が雇用契約に合意したことになるので、雇用契約締結と同じ法的効力が発生します。
「内定通知書」は、「始期付解約権留保付労働契約」となり、労働契約の始期(入社日)まで、内定を取消するような出来事が起きた場合は、企業側が労働契約を解除できるという条件付き(解約権留保付)の労働契約になります。
解約権がありますが、内定通知書は雇用契約書と同等の位置づけです
採用通知書の効力はいつ発生するの?
採用通知書に法的効力はありませんが、企業側の採用する意思を伝えるという「効力」は求職者に伝わった段階で「効力」が発生します。
採用通知書と内定通知書・新卒採用と中途採用の違い
注意が必要なのは中途採用などで、選考から入社まで期間が短く採用通知書だけを発行する場合です。
この場合、採用通知書を送り求人者が入社の意思を伝えた段階で、企業側と求人者の双方が合意したことになり、内定通知書を発行するのと同様に、雇用契約締結の法的効果が生まれます。
採用通知書を発行してから入社までの流れ
(内定通知書を発行する場合)
【採用通知書発行】→【求職者が承諾し採用承諾書提出】→
【内定通知書発行】※法的効果発生→【入社】
(内定通知書を発行しない場合)
【採用通知書発行】→【求職者が承諾】※法的効果発生→【入社】
採用通知書の送り方、もらい方
採用通知書の送り方は法律で定められていません。
文書送付でもメール送付でも、そのほかLINEなどの方法でも相手方に正確に伝われば要件を満たします。
ただ、メールでは迷惑メールに紛れてしまって見過ごしてしまう、LINEなどのSNSでは正確に伝わったか不安が残りますね。
一番望ましいのは、直接手渡しや書留郵便など送付の事実が残る方法です。
実務ではまず電話連絡で選考に合格したことを伝え、入社する意思があるか確認します。
入社する意向があれば、後日出社してもらい採用通知書を手渡しし、採用承諾書に記入してもらい、内定通知書を渡す、という段取りを踏めば問題ありません。
この段階で求職者から「採用証明書」の記入を求められる場合もありますので、電話での意思確認で「採用証明書」の記入が必要か確認しましょう。
郵送する場合の送付時期ですが、選考から1週間以内に送るようにしましょう。
選考段階であらかじめ合否の通知期限を案内することが大切です。
発送と同時にメールなどで発送したことを伝えると効果的です。
求職者側の採用通知書のもらい方ですが、行き違いや誤解を避けるために、直接手渡しや書留郵便での受け取りを希望しましょう。
採用通知書の発行から入社までの手続きを丁寧にすると、求職者からの会社への評価が高くなり、その後の採用でもよい人材が集まり、採用での母集団形成にも役立ちます。
採用通知書を送付する場合、同封する書類は?
・送り状
・採用承諾書
・入社誓約書
・採用承諾書と入社誓約書を送付するための返信用封筒
採用通知書の書き方?テンプレート公開(word エクセル)ほか必要書類も
WORD版
エクセル版
採用承諾書
入社誓約書
採用通知書の書き方と注意点 まとめ
1 採用通知書と内定通知書の違いに注意
2 採用通知書だけでは法的効力はないが、先方が承諾の意思を伝えられた時点で法的効力発生
3 できるだけ直接手渡しが望ましい、郵送の場合は書留郵便で
最後まで読んでいただきありがとうございます。
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