「採用要件」の定義と作り方「人材要件」との違いとテンプレートを公開

採用活動の中でよく耳にするようになっている言葉に「採用要件」があります。

「採用」「要件」それぞれの言葉は単純なのですが「採用要件」となるとイメージはつかめても具体的に何を意味してどのような役割があって、作り方はどうするのか、明確に理解しにくいことだと思います。

日本企業の採用では新卒で一括に大量採用し、終身雇用で企業文化に染め上げていくという「メンバーシップ型雇用」の時代は終わりを迎えつつあり、「この業務に必要な人材を採用する」という「ジョブ型雇用」への転換が迫られています。

「業務に必要な人材を採用する」ために「採用要件」を定めることが、優秀な人材の獲得とミスマッチを防ぐことにつながります。

この記事でははじめて「採用要件」をつくる採用担当者向けに「採用要件」の定義と作り方、似た意味をもつ「人材要件」との違いを、10年以上採用を担当している社会保険労務士資格を持つ大手企業の人事部管理職が解説します。

目次

「採用要件」とは?定義と作り方

採用要件」とは、採用すべき人材の能力・特性、労働条件、働くことに対するマインドなど定義したものであり、採用活動を行うにあたっての基礎的な指針となるものです。

採用活動をはじめるにあたってまず「採用要件」を定めます。

自社にはどのような人材が必要なのか、求める人材像を明確にして、「採用要件」を設定する必要があります。

採用要件」を設定することで合否を決める際に曖昧な感覚や印象で判断するのではなく、言語化された客観的な基準で判断できるようになり、公正な選考につながります。

また入社後のミスマッチが少なくなる効果も期待されます。

採用は経営課題解決の手段です

採用要件と人材要件の違いは?

採用要件」と似た意味の用語に「人材要件」があります。

人材要件」は「採用要件」の中でも特に求める人材が兼ね備えてほしい要件で、スキルや能力、経験、マインドなどになります。

「採用要件」は「人材要件」に労働条件などの就業にあたっての条件を加えたものになります。

採用現場では「採用要件」と「人材要件」は同じ意味として使われることが多いです

採用に必須「採用要件」の作り方はMUST WANT要件を整理 

1.採用の目的を明確にする

採用とは単に人材を獲得することが目的なのではなく、企業が抱えている課題を解決することが目的です

経営陣や他部署にヒアリングして現在直面している課題と解決策を会社の理念や経営方針、経営計画などをもとに明確にします。

2.課題を解決するために人材が必要な部署を定める

業務課題をもとに関係する部署を抽出し、現場とのヒアリングで必要な人員数を定めます。

部署のメンバー構成を考え望ましい年齢も考えておきます。

3.採用したいポジションの業務内容を整理する

業務内容を整理することで求める人材像が具体的に明らかになります。

業務内容の中でもすぐに担当してほしい業務と、中長期的に担ってほしい業務に分けることで採用要件が絞りやすくなります。

中長期的に担ってもらいたい業務の重大性が高ければ、優先順位が変わることもあります

4.求めるスキル・経験・マインドを決める

実際に業務を行うにあたって必要なスキルや経験・マインドを該当部署へヒアリングします。

なかなか具体的な内容が出てこない場合は該当部署で活躍している社員をモデルとし、その社員がどんなスキルや経験、マインドを持っているかなどを分析しましょう。

抽象的ではなく、具体的に出していくことが重要なポイントとなります。

スキルとは訓練や経験を通して身につけた技能や知識を指します。資格などの証明が取れるものから、コミュニケーションスキルやマネジメントスキルなどの抽象的な概念スキルまでさまざまです。

一方経験とは、職種やポジションを指すことが多く、「〇〇職〇年」のように表現されることが一般的です。

「○○職」といってもプロジェクトリーダーなのか、関わっていたメンバーの一人なのか、0→1の経験があるのか、それとも軌道にのったプロジェクトを維持していたのかによっても経験値は大きく変わるので経験値も細分化しておきましょう。

マインドとは、業務を遂行するにあたっての思考や性格です。

例えば顧客対応を担当する場合は、顧客の声を傾聴することが必要なので、辛抱強く人の話が聞ける性格が必要になります。

5.スキルや経験をMUSTとWANTに分ける

具体的に求めるスキルや経験が明確になったら、MUSTとWANTに分類します。

MUSTは業務遂行にあたり最低限必要な要件で、WANTは兼ね備えていることが望ましいですが入社後に研修や業務を通して身に付けられると考えられるものです。

要件を全て満たした人材はなかなかいないので、MUSTとWANTに分類することで採用判断する際の基準になるからです。

MUST事項の中でも優先順位を決めましょう

6.完成した採用要件を周知する

採用要件は面接官をはじめとする採用に携わる全員に周知してこそ役立つものです。

採用要件をもとにした評価をするために模擬面接や動画を使用した評価練習を行うと、面接官の評価基準をすり合わせることができます。

周知する必要はないのですが、人事部サイドとしては待遇などの条件も採用要件として定めておきます。

「採用要件」が決まれば求める人物像に進化させ「ペルソナ」を作ります。

すぐに使える採用要件のテンプレート

採用要件を作成する手順をもとに、すぐに使えるテンプレートを公開します。

このテンプレートを元に自社の実情に合わせて応用してみてください。

「採用要件」の定義と作り方 まとめ

1 「採用要件」は採用活動の基礎的な事項をまとめたもの

2 「採用要件」と「人材要件」はほぼ同じ意味で使われる

3 「採用要件」を進化させて求める人物像と「ペルソナ」をつくっていく

最後まで読んでいただきありがとうございます。

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この記事を書いた人

社労士資格をもつ大手企業人事部管理職・工藤です。10年以上新卒採用と中途採用を担当した経験から採用のお手伝いをします。

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