「リファラル採用」は最近増えてきた新しい採用の手法です。
簡単にいうと社員に人材を紹介してもらい採用するというものです。
欧米では効果的な採用手法として定着していますが、新卒一括採用、終身雇用が一般的だった日本の採用市場ではなじみの薄い採用手法でした。
しかし、若年人口の減少で採用難となっている企業側が、応募を待つだけでなく優秀な人材を採りに行く姿勢が必要になり、ダイレクトソーシング(ダイレクトリクルーティング)の一つとして活用されるようになってきました。
また「リファラル採用」を導入した企業の中には、離職率の低下という効果を生み出す企業も出てきています。
「採用」と「定着」の両面に効果があるとされ新しい採用手法ともいわれる「リファラル採用」ですが、導入にあたっては躊躇してしまう企業も多く見受けられます。
リファラル採用を手軽に始める事例とポイント、報酬の設定方法を10年以上新卒採用と経験者(中途)採用を担当している社会保険労務士資格を持つ大手企業の人事部管理職が解説します。
手軽なリファラル採用のポイントと導入事例

ポイントごとに整理して解説します。
リファラル採用では社員から人材紹介を受ける手軽な手法
社員の知り合い、親戚、友人、すべてがリファラル採用の対象となります。
リファラル採用を採り入れる入口は難しく考える必要はなく、まずは手軽に社員の知り合い、取引先などで一緒に働きたいと思う人をスカウトすることです。
企業が求める人物像を社員が正確に理解すること、紹介対象の人物が企業にマッチするのかを冷静に判断することが重要なポイントになります。
リファラル採用と縁故採用の違いは?
リファラル採用は企業が正式な採用手法として取り入れて行うもので、紹介を受けても面接や適性試験や筆記試験などのプロセスを経て採用となり、紹介を受けても採用に至らないケースもあります。
一方、縁故採用ではどちらかというと組織内の力関係で人材が紹介され、正式な採用手法として社内で認知されているものではなく、認知面接や筆記試験などは実施されないか、されても形式的なものとなり実力が乏しい人が採用されてしまうケースもあります。
リファラル採用のコスト削減効果
採用コストは下がります。
通常の採用の場合、採用サイト等の媒体費や就活イベントの参加費、インターンシップ実施費用など多額のコストがかかります。
予算面だけでなく採用工数も増えるため工数も膨大です。
リファラル採用でも、社員が被紹介者との飲食代、採用した場合の紹介者への手当などが想定されますが金銭的、作業コストは少なくなります。
新卒採用に関わってるけど、エージェントフィーけっこうするな‥
中途のリファラル採用費用なんて、安いもんだわ🤤— みみんみんみん (@Koki75860548) December 16, 2021
リファラル採用ではミスマッチを防ぐ
自社をよく知る社員が候補者を紹介するため対象者の企業への理解が深まり、母集団形成の段階で人材の質が高くなります。
このため採用後のミスマッチが起きにくくなり定着率が高まります。
リファラル採用で離職率の低下
入社後のミスマッチが少なくなるので通常の採用よりも定着しやすくなります。
また社員側の意識変化という効果もあります。
知人を紹介するには、自社について考え社のビジョンなどを正しく理解する必要があり、自然に経営的な視点を持つようになります。
この結果、社員の社への意識が高まりリファラル採用による定着率の向上と相まって、離職率が低下する効果があります。
エージェント採用よりもリファラル採用の方が、社員が相手の事も能力も知ってて、かつ採用側の会社の状況もわかってて来てくれるからギャップ少ないですし、「合わない」と辞められるリスクも少ないから世間のテック系が良く取り入れてるのも納得いくんですよね。
そら、そうだよねと。
— やた (@yata_3) December 17, 2021
リファラル採用の導入事例
1 株式会社富士通
・リファラル採用の社員用サイトを設置
・選考プロセスは通常のキャリア採用と同じ
・人事部トップから全社員へメッセージ配信
・紹介対象者のガイドライン設定
※社内ガイドラインを設けて求める人物像(ペルソナ)の共有
1 株式会社メルカリ
・紹介者との会食費は会社負担
・会食報告は簡素に3行のみ
・経営トップから全社員へ積極的な呼びかけ
※社員全員参加意識の醸成と協力社員の負担軽減
1 株式会社アンドパッド
・ペルソナ設定を明確にて数より質を重視
・全社員ではなくリファラル採用に関わる社員を厳選
※広く求めるのではなく厳選することで採用率が高まる
リファラル採用のデメリット

メリットがある反面、リファラル採用にはデメリットもあります。
以下にポイントごとに解説します。
リファラル採用で集まる人材の偏り
リファラル採用は、従業員のつながりで候補者を紹介してもらうため、似たような考え方や気質の人材が増えやすくなる傾向があります。
同じような特性をもった人材が集まっても、革新的な発想に寄与するとは限りません。
企業が新しい価値を生み出していくには、様々な考え方の人材が集まることが重要です。
社内で結果を出している社員と似たような気質をもった社員は即戦力として期待できますが、変革を生み出しにくく、派閥形成につながることもあるので注意が必要です。
リファラル採用にあたって社員教育コスト増
社員が知り合いに自社の魅力や仕事内容を伝えてスカウトするので、採用を担当する社員を厳選し、教育する必要があります。
自社の理念や業務内容だけでなく、業界での強みや弱みと位置づけ、将来的な可能性まで、わかりやすく伝えて、そのうえで自社に入りたいと思ってもらえないとリファラル採用はできません。
そういった意味でリファラル採用を担当する社員教育コストがかかってきます。
リファラル採用が内定に至らない場合の人間関係悪化リスク
社員から紹介してもらった人材が不採用になった場合、紹介した社員とその人材との関係が悪化してしまうリスクがあります。
早い段階で人事担当者を交えた三者での話し合いをして、採用に至らない可能性や、社員が話しにくい事柄などを淡々と伝える機会を設ける必要があります。
こうしたプロセスを経ないで、社員と紹介予定の人材だけの関係性でいると、採用に至らなかった場合に個人的な人間関係が悪化し、社内でリファラル採用に協力してくれる社員がいなくなる恐れがあります。
リファラル採用のインセンティブ費用増
リファラル採用では、紹介してくれた社員のインセンティブのための手当を支給するケースがあります。
また社員に対象者との話し合いのための会食費用等を支給することもあり、こうしたコストがかかってきます。
社労士が解説するリファラル採用が違法とならない報酬設定

職業安定法では、労働者の募集を行う社員に報酬を与えることは原則として禁止されています。
しかし、賃金や給与として支払う場合は例外として認めるとも規定されています。
賃金や給与として支払うということは、リファラル業務を業務と規定し、労働の対償として支払うことです。
「人材を紹介する」ということだけに対して報酬を支払うと、職業安定法や労働者派遣法に抵触し違法となる可能性があります。

紹介するだけなら人材紹介業になってしまいますね
リファラル採用の報酬設定、違法とならないためには
以下の2つのポイントを押さえましょう
人材紹介を就業規則に記載する
リファラル採用を社員の業務とするには就業規則に記載する必要があります。
就業規則には、リファラル採用が正式な業務の一部であること、また、それによって支払う報酬(手当)の金額や、経費の支給を盛り込む必要があります。
さらにどの時点で報酬(手当)が発生するのかについても記しておいた方がよいでしょう。
一般的には、入社した月や入社後3か月など人材が定着した段階での支払いが多いです。

就業規則を改訂した場合は、必ず社内へ周知し労働基準監督署に届け出しましょう
人材紹介の報酬(手当)のバランスをとる
報酬が高額だと、許可や届け出なく人材紹介業を行ったと判断される可能性があります。
目安として、資格を有するプロの人材紹介会社への報酬(年収30%程度)よりも低く設定することが必要です。
他社事例では1万から数十万、ギフト券での支給というケースもあります。
また社員が「報酬目当て」となることを避けるために、社内のほかの手当とのバランスをとる必要もあります。
地域事情、業界の事例、社の規模、社員の年収・・様々な要素から独自の制度設計をすすめていきましょう。
リファラル採用のトラブルは?回避するためには?

・人材に偏りがでてしまう
→ほかの採用手法も取り入れて人材の多様性を保つようにしましょう。
・採用できなかった場合に紹介者と採用候補者の人間関係が悪化してしまう
→選考プロセスに入る前に、人事担当者も交えて不採用もあることを明確に説明しましょう。
・紹介者に報酬を支払うと違法になる可能性がある
→就業規則に明記し、報酬額も人材紹介業の手数料よりも安く設定する
リファラル採用 まとめ
1 リファラル採用は費用、人材定着、社員の意識向上で効果あり
2 違法となる可能性もあるので、専門家によるコンサルティングが必要
3 社内トラブルへの対策も必要
最後まで読んでいただきありがとうございます。
コメント
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