採用の面接では聞いてはいけない質問があります。
法律的にNGな質問、道義的にNGな質問、慣習的にNGな質問・・・、面接官はこれらの全てを理解しなければ面接で質問を発するべきではなく、一線を越えてしまえば会社がとんでもない損害を被る恐れがあります。
採用にあたってどうしても聞いて確認しておきたことがあっても、聞いてはいけない質問に該当するのでは、と躊躇してしまうこともあります。
聞くべきことが聞けないと採用のジャッジは不確かなものとなり、企業にとっては潜在的なリスクを抱えることになります。
この記事では、採用の面接で聞いてはいけない質問と、人材を評価するにあたって聞かなければいけない質問の聞き方を、10年以上新卒採用や経験者(中途)採用を手掛けてきた社会保険労務士資格を持つ大手企業の人事部管理職が解説します。
なぜ採用面接で聞いてはいけない禁止質問があるのか
法律で企業側には公正な採用選考をすることが義務付けられています。
公正な採用選考とは、出生地や家族構成など個人の責任ではないことで選考するのではなく、能力や適性で
評価し、応募者の基本的人権を尊重すること、偏見による就職差別を行わないことをいいます。
誰でも自由に自分の適性・能力に応じて職業を選べる就職の機会均等の権利がありますが、職業を自由に選ぶ権利が守られるためには企業側が公正な採用選考をしなければなりません。
そのため、偏見や予断で採否結果に影響を与えてしまうような質問は禁じられているのです。
厚生労働省が法律で定める面接で聞いてはいけない禁止質問
面接で聞いてはいけない質問はたくさんありますが、厚生労働省が掲げている指標をもとに採用面接で聞いてはいけない4つの質問について解説します。
①家族や財産に関する質問
家族構成や家族の仕事や収入、健康状態、学歴などを質問してはいけません。
NG質問例
・ご両親は共働きですか?
・ご両親の仕事は何ですか?
・世帯での年収はいくらですか?
・ご家族の病歴を教えてください。
・ご両親の最終学歴をお聞かせください。
家族は本人の適性や能力には無関係だからです
②思想・信条・宗教や労働組合に関する質問
憲法で思想や信条、考え方、世界観などは、「思想の自由」という基本的な人権として保障されています。
そのため、応募者がどのような考え方であるかによって評価を変えてはいけません。
NG質問例
・信じている宗教はなんですか?
・支持政党を教えてください。
・@@選挙ではどの政党(どの候補者)に投票しましたか?
・購読している新聞を教えてください
・愛読書は何ですか?
・座右の銘はありますか?
・尊敬する人を教えてください。
・夫婦別姓について考え方を聞かせてください。
・労働組合には加入していますか?
思想信条は仕事をする能力や適性とは関係ないです
③本籍や出生地、住宅状況に関すること
本籍や出生地、住宅状況に関する質問は、差別につながる可能性があるため、採用面接で聞いてはいけない質問です。
NG質問例
・あなたの出身地はどこですか?
・本籍はどこにありますか?
・あなたの出身国はどこですか?
・あなたは生まれてからずっと同じ所に住んでいるのですか?
・あなたの家の間取りを教えてくれませんか?
・あなたの家は戸建てですか?
・家の近くには何がありますか?
出生は差別問題に関係しますので絶対にNGです
④健康情報に関する質問
応募者の適正と能力を判断する上で合理的かつ客観的に必要である場合を除き、健康情報に関する質問は禁止されていますし、選考時の健康診断は控えましょう。
一方で採用が決まった後の雇入れ時には健康診断の実施が義務付けられています。
NG質問例
・持病はありますか?
・HIVやB型、C型肝炎に感染していますか?(業務で感染させる恐れがない病気)
※精神疾患や身体障害などは業務に与える影響や就労上の配慮が必要な場合があるので、エントリーシートや面談で既往症を確認したり、就労にあたって必要な配慮などを確認しましょう。
面接ではNGで選考後には確認する義務が発生するのはややこしいな
健康状態で評価してはいけないということです
確認したいことを聞く方法と人材を見抜くために質問すべきこと
面接で聞くべきでないものや、直接は該当しないものの「不適切かも?」と思える質問であっても、確認しておきたいことや、人材を評価するために聞きたい質問があります。
採否に重要な影響をするのであれば、聞かなければならない場合があります。
一旦採用して入社してから、大きな問題が判明しても「解雇権濫用法理」によって解雇が難しくなってしまうからです。
そこで、どうしても聞きたい質問があって、違法か不適切か悩む場合には、「当社の業務にどうしても必要不可欠」といえる理由があるかどうかを検討してください。
「必要不可欠」な理由がある場合には、その質問へ回答することがなぜ「必要不可欠」なのかを労働者に説明の上、回答を求めることができます。
人材を見抜くために必ず確認すること
面接時に確認しなかったことによりトラブルが発生してしまう恐れがあることは必ず確認しましょう。
① 資格、経歴、転職歴
応募者の保有する資格や転職歴などの経歴についてはしっかり確認しておきましょう。
資格や経歴を信頼して採用しても、実は詐称していたというケースは少なくなく、解雇などのトラブルに発展してしまう可能性があります。
詐称していた場合は解雇することができるので、履歴書やエントリーシートに設問を設けておきましょう。
② 犯罪歴
過去に犯罪歴がある場合でも「質問されない限り」答える必要がありません。
直接面接の場で質問するか、提出書類の中に「賞罰」の欄を設けて応募者が申告しなければならない状態にしましょう。
採用面接で聞いてはいけない質問 まとめ
1 法律で採用では公正な選考が義務付けられている
2 採用は能力や適性で評価されなければいけない
3 合理的で業務上どうしても必要な理由がある場合、説明して納得のうえで質問することが可能
最後まで読んでいただきありがとうございます。
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