採用の選考メニューの一つにグループワークがあります。
グループワークを初めて受ける場合、何が評価のポイントなのか、どのように議論に臨めばいいのか、不安を覚えることも多いと思います。
企業側にしても、どんなグループワークのテーマを用意したらいいのか、手順はどうしたらいいか、評価基準をどうしたらいいのか・・疑問点も多々あります。
就活生と企業側の双方にとって面接以上に対応が難しいと思われているグループワークですが、実は見るべきポイントは絞られています。
この記事では採用のグループワークの目的と就活生側・企業側それぞれにとって準備するポイントを、10年以上新卒や経験者(中途)採用を担当して、グループワークの企画運用と評価をしている、社会保険労務士資格を持つ大手企業の人事部管理職が解説します。
採用のグループワークは「プレゼン型」と「作業型」
グループワークは就活生がグループになり課題にたいして議論を行い一定の結果を出すことです。
よく似た選考メニューにグループディスカッションがありますが、グループディスカッションは議論だけで結果は求められていません。
一方グループワークは成果が求められていることが両者の違いになります。
グループワークは「プレゼン型」と「作業型」の二種類があります。
「プレゼン型」は、ある問題などについて話し合い、グループで決めた結論を発表する形式です。
「作業型」はある目的を達成するために、参加者同士が協力しながら作業を行いゴールを目指す方法です。
「プレゼン型」でも「作業型」でも企業はグループワークを通して受験者の性格や能力面、グループの中での存在感や発想力などを評価します。
個人面接よりも効率的に受験者を評価できるので、特に総合職や企画系の職種での採用に用いられています。
「プレゼン型」グループワークのテーマの例題と評価ポイント
「プレゼン型」のグループワークでは、フリーに議論を行うオープンディスカッション、いくつかの選択肢の中からどちらかを選んだり優先順位をつけさせる選択ディスカッション、ビジネス課題の解決策を出させるビジネスディスカッションがあります。
●オープンディスカッション テーマ例
・少子高齢化と食料不足を解決する方法
・リモートワーク下でのコミュニケーション不足の解決法
・日本は10年後にどのような国になっているか
オープンディスカッションでは正解が存在しないため議論をまとめることがポイントです。
異なる意見の相違点をみつけだし、結論に導き出すプロセスが評価ポイントとなります。
正解がないだけに結論を導くのが難しいです
●選択ディスカッション テーマ例
・首都を移転させるとしたらどこに移転させるか
・朝食に食べるにはりんごとミカンのどちらか
・朝食はパンかご飯のどちらがおススメか
選択ディスカッションでは、優先順位のつけ方や価値観を確認できます。
選択した理由を倫理的に伝える必要があり、多面的な分析能力が評価につながります。
選択の理由が重要です
●ビジネスディスカッション テーマ例
・原価100円のハンバーガーを1000円で売る方
・人口1000人の村にテーマパークを誘致する方法
・東京都内で林業を成功させる方法
ビジネスディスカッションではビジネス面での発想力とビジネスとして成立させる構成力を評価します。
実際に成功できるかというよりも、ビジネスベースでの斬新なアイディアを出せるかが重要です。
どのテーマにも共通する注意点ですが、決して論破しようとしないことと、相手の発言は最後までしっかり聞くことがとても重要です。
議論に臨む姿勢は印象に強く残るので、議論の内容以上に結果に影響を与えるので十分に注意しましょう。
ビジネスモデルを作ることがポイントです
「作業型」グループワークのテーマの例題と評価ポイント
・20枚の画用紙を使って、10分以内にできるだけ高いペーパータワーを作りなさい
・20本のパスタとテープ、紐などを使って自立可能なパスタタワーを立ててください
作業型はある目的を達成するために、参加者同士が協力しながら作業を行い、ゴールを目指す方法です。
応募者の技術スキルや職業スキルを測れるのはもちろんですが、メリットはこれだけではありません。
「作業型」では仮説をもとにベストだと思った解答が実際には異なり、都度検証と修正が繰り返されるので、状況適応能力が評価できます。
メンバーのアイディアを尊重して積極的に行動することを心掛けてください。
初めてのグループワーク 不安を解消する準備
選考メニューでグループワークを実施する場合に企業側と応募者側が準備することを解説します。
初めてグループワークを受ける就活生が準備すること
①ゼミなどの討論で自分の意見を論理的に話すトレーニングをする
ゼミでは意見を交わす場はグループワークのトレーニングを積む絶好の機会です。
積極参加して意見を述べ、ゼミ仲間の意見に耳を傾け相違点をまとめたりしましょう。
②就活の先輩にグループワーク体験談を聞く
志望している企業に先輩がいたら連絡をとって話を聞いてみましょう。
グループワークは企業ごとに傾向がありますので、前例を聞くだけでも会場の雰囲気やテーマのジャンルなどが予測できます。
グループワークだけでなく就活全般についてためになるアドバイスも期待できます。
③グループワークに参加する
第一志望ではない企業で、実際にグループワークに参加してみましょう。
関心のある業界や企業の選考に応募して、グループワークに参加してみましょう。
それほど志望度が高くないのでプレッシャーを感じず自然体で体験することができます。
グループワークは場数を踏むことが重要なので第一志望企業の前にできるだけ多くグループワークに参加しましょう。
自分の考えを言語化するトレーニングを重ねてください
グループワークを実施する企業が準備すること
①テーマ設定
グループワークで何を評価するのか「リーダーシップ」なのか「発想力」なのか、それとも「論理的思考」なのか、評価するポイントによってテーマは変わってきます。
求める人物像(ペルソナ)に立ち返り必要な能力を評価できるテーマを設定します。
②評価基準を定め面接官と共有
グループワークでは必ず、参加者の評価基準を明確にし面接官と共有しておきましょう。
評価は「リーダーシップ」や「発想力」などの評価基準を定めても、単に印象で評価するのではなく「議論をリードしたか」「発言の少ない参加者に発言機会を与えたか」などのチェック項目をつくってできるだけ客観的な基準を定めておくと客観的な評価がしやすくなります。
そのうえでチェックシートなどの採点表を用意しておきます。
③筆記用具等の準備
テーマを映し出すプロジェクターや、メモ用紙、筆記用具、議論時間を測るタイマー、ホワイトボードなどの資材はあらかじめ用意し配置しておきます。
メンバーの名前がわかるように名札を用意しておくことも必要です。
司会、タイムキーパー、書記、それぞれの役割に応じた評価基準を設定しましょう
オンラインでグループワークは難しい、実施する場合の注意点
コロナ禍で採用活動は大きく変化し、オンラインでの面接やグループワークが普及しました。
一か所に集まる必要がなくスケジュール管理もしやすくなるなどのメリットがありますが、通信回線状況によってはスムーズな議論がしにくくなる、対面ではないのでコミュニケーションがとりにくく、人物の全体のイメージが把握しにくい、などのデメリットもあります。
オンラインでの注意点です
1 最初は企業側が司会になってルールを表示して説明し、参加者の自己紹介をする
2 ビデオはONにする
3 参加者の役割分断も司会者が決める
4 メモや議事録は画面共有する
5 発言はできるだけ大きな声で短時間にまとめる
採用グループワークのテーマと対策 まとめ
1 グループワークは面接よりも効率的に評価できるので導入企業は増えている
2 ゼミなどでグループワークのトレーニングを積んでおく
3 発言態度などは発言内容以上に評価に影響を与える
最後まで読んでいただきありがとうございます。
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