中途採用ではリファレンスチェックが入ることが増えています。
企業側は内定を出す段階で本当に内定を出していい人材なのかを見極める手段のひとつとして、面接やエントリーシートではわからない内定候補者の働きぶりや人柄を、内定候補者の同僚や上司にヒアリングしてチェックします。
内定候補者は転職活動を会社に隠している場合がほとんどで、リファレンスチェックが入ることで転職活動がばれてしまうこともあります。
リファレンスチェックは外資系企業では当たり前ですが、日本企業でも導入することが近年増えていて、特に選考の最終段階で行われることが多く、ここを乗り切れれば内定となるいわば転職の最終関門です。
リファレンスチェックを誰に頼めばいいのか、そしてどのようなことが聞かれるのか、10年以上中途採用を担当し、実際にリファレンスチェックをしている社会保険労務士資格を持つ大手企業現役人事部管理職がリファレンチェックをわかりやすく解説します。
中途採用ではもはや必須 リファレンスチェックとは?
リファレンスチェックとは主に中途採用で内定候補者の経歴や実績、職務内容について、現職の上司や同僚、前職、元職での同僚など第三者に聞き取りをすることです。
リファレンスチェックの主な目的は採用におけるミスマッチを防ぐことです。
現職や前職、元職の上司・同僚・部下がリファレンスチェックの主な依頼先 となり、内定候補者から了承を得た上で企業もしくは委託された外部業者が、直接電話やメールなどで依頼先 にヒアリングします。
リファレンスチェックを実施するタイミングは企業によって違いますが、内定後に行われる場合と、内定直前にこのまま採用して問題がないか最終確認で行う企業が多くなっています。
リファレンスチェックのための代行業者も存在し、採用で人材を間違いたくない企業によるニーズが高まっています。
選考だけでなく、リファレンスチェックで分かった事を入社後の研修や配置に活かすことで、即戦力化が図れることもあり、いまやリファレンスチェックは中途採用では必須ともいえるチェック項目です。
リファレンスチェックは勝手に調べたら違法
リファレンスチェックは、内定候補者の同意のもとで行われるため、個人情報保護法には違反していませんが、企業が内定候補者の同意を取らずに勤務先などに勝手に連絡を取っていたら、違法となる可能性が高くなります。
リファレンスチェックの実施にあたっては注意すべき点がいくつかあります。
個人情報の取得
リファレンスチェックで得られる内定候補者や回答者の情報は、個人を識別する情報(個人情報保護法 2条2項)に該当する可能性があるため、情報の取り扱い及び個人情報保護法の適用有無に注意が必要です。
個人情報を取り扱う場合は、原則として、あらかじめ利用目的を公表する、もしくは取得後速やかに本人に公表しなければいけません(個人情報保護法 21条)。
内定候補者の前職や現職に自分の知り合いがいる場合や、知り合いのツテをたどって、内定候補者本人に内緒でリファレンスチェックを実施してしまうと、違法となる可能性があります。
個人情報の提供
取得した個人情報は、本人の同意なく第三者へ提供することは原則禁止されています(個人情報保護法 27条)。
内定候補者本人に内緒で内定候補者の情報を企業に渡した場合など、企業だけでなくリファレンス回答者も違法となる可能性があります。
個人情報にあたるので細心の注意が必要です
リファレンスチェックは誰に頼む? 上司か同僚か?
リファレンスチェックを頼む人物の主な候補者は採用候補者の上司、同僚、部下となります。
リファレンスチェックの大きな目的は内定候補者の仕事ぶりや人柄を聞き取り、エントリーシートに書かれた経歴が正しいのかを確認することになります。
このため、採用候補者の職場関係者が候補となり、仕事ぶりや人柄をよく知っている上司が最優先対象となります。
上司に頼めない場合は、同僚、部下となります。
上司や同僚、部下に頼めない場合の頼み方?
リファレンスチェックを頼むということは、転職活動をしていることが会社にわかってしまうことです。
このため現在の上司や同僚、部下には頼みにくい場合があります。
リファレンスチェックは内定候補者の同意がなければ行えないので、チェックを受けてくれる人に頼むよう交渉することはできます。
転職活動をしていることは会社に伏せていることを伝えたうえで、現職ではない前職や元職での上司や同僚、部下にお願いしてみましょう。
それでも頼めない場合は、仕事上の取引先、出身大学の担当教官などにお願いするケースもあります。
しかし、現在の職場から離れるほど調査内容は限定的になるため、企業が調べたいことが調べられない可能性がでてきます。
リファレンスチェックはどこまで調べられるか?
リファレンスチェックの内容は面接やグループワークではわからない応募者の働きぶりやエントリーシートなどに書かれている経歴が正しいのかをチェックすることです。
基本的には一緒に働いていた上司や同僚から働いていたときの様子や、仕事上の得意や不得意なこと、経歴が正しいのか、職場でどのように振舞っていたのか等一緒に働いていたことで分かることがリファレンスチェックの調査範囲となります。
相思相敬な採用体験🌱
Mutureの採用面接は三次まで。加えてリファレンスチェックもお願いしております。
ステップは多くなってしまいますが、私たちが判断するための情報を得るという目的ではなく、お互いの期待値のすり合わせを徹底的に行いたいとい想いがあります✨ pic.twitter.com/7Kol8MnaVX
— 米永さら沙 🍚 (@syone1105) September 28, 2022
リファレンスチェックでなりすましがばれると内定取り消しは避けられない
リファレンスチェックは企業側からすればコストをかけて、内定を出すか出さないかの瀬戸際での大切な調査になります。
このためなりすましなどがばれると内定取り消しは避けられず、場合によっては損害賠償を請求される可能性もあります。
リファレンスチェックは選考の最終段階、ほぼ内定に近く慎重な対応が必要
リファレンスチェックは内定前後に行われることが多いです。
なぜなら自社で調査する場合は作業が多く外注するには多大なコストがかかるので、企業としては内定を出す前後に対象者を絞って実施します
リファレンスチェックへの同意が求められた場合は、ほぼ内定段階だと思って間違いないので、現在の職場にも正直に事情を話し、上司や同僚に協力してもらって慎重に対応しましょう。
中途採用で欠かせないリファレンスチェック まとめ
1 リファレンスチェックを本人の同意にもと行われる
2 選考の最終段階か内定後に行われる
3 現在の上司や同僚、部下への聞き取りが中心
最後まで読んでいただきありがとうございます。
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