「採用面接の質問は難しい」そんな悩みを抱える採用担当者は多いです。
私は採用を10年以上担当していますが「どのような質問を投げかければ長所を引き出してあげられるのか?」と毎回考え込んでしまいます。
面接者の個性は様々なので全ての人に効果がある魔法の質問はありませんが、面接の意味や目的、事前の準備でかなり面接者の良い点を引き出したり、逆に隠れたマイナスポイントをあぶりだすことは可能です。
この記事では採用の面接で欲しい人材を見つけ出す質問と採ってはいけない人を見抜く質問、そして面接で聞いてはいけないNG質問などを10年以上新卒採用と中途採用を担当している社会保険労務士資格を持つ大手企業の人事部管理職がわかりやすく解説します。
新卒・中途採用面接の目的は人柄を知ることと相互理解
採用面接での質問の目的は履歴書やエントリーシートに書かれていることの背景にある人材の魅力や長所、人柄を見抜くことです。
履歴書やエントリーシートは経歴や志望動機などを時間をかけて事実に基づきながらも自分をよく見せるために書かれたものになります。
そうした書類をもとに応募者の長所や短所そして潜在能力などを見抜き、会社への適性の有無を見極め入社後のミスマッチを防ぐことが面接の大きな目的になります。
同時に面接は相互理解の場でもあります。
採用市場は売り手市場となっており、優秀な就活生は多くの内定を獲得します。
面接で違和感を感じると躊躇なく選考を辞退します。
優秀な人材ほど抜けていってしまうことがあります。
こうした事態を避けるためには、面接は評価の場でもあり、
同時に企業と就活生の理解を深める場でもあると認識を改める必要があります。
評価だけにとらわれるのではなく、理解向上も見据えた対話を心掛けましょう。
採用面接は応募者側からの逆質問で企業を見極める場でもある
採用面接は応募者を評価する場であると同時に応募者が企業を見極める場でもあります。
『選ぶ側』だと勘違いした面接官や役員が横柄な態度をとると、優秀な学生に辞退されてしまうことが多々あります。
応募者からの逆質問への回答はもちろん、社員同士の何気ない会話や面接会場の雰囲気から企業の気質が読み取られます。
逆に応募者は内定を取ろうと必死になるだけでなく、面接は企業が自分の人生を賭けるに足るのかを見極める場であることを覚えておく必要があります。
就職や転職で最も避けなければならないことは応募者も企業側にとっても「間違って合わない会社に入ってしまうこと」です。
新卒・中途採用面接の流れと逆質問時間を設ける意味
まず、採用面接の大きな流れを説明します
1 アイスブレイク 緊張をほぐすため雑談をします。「面接会場までどうやってきたのか」「外の天気」など評価とは関係ないと応募者にわかる質問が重要です。
2 自己紹介 面接官の自己紹介や企業の説明です。応募者によい印象を持ってもらう場でもあります。
3 エントリーシートや履歴書に基づく質問 イエス・ノーではなく具体的な言葉で回答できる質問を心掛け、(質問)ー(回答)ー(深掘り質問)ー(回答)と会話のキャッチボールができるようにしてください。
4 応募者からの質問 応募者が抱いている疑問や不安を解消するための場です。応募者に選んでもらうために理解度や納得度を高めます。企業側にしても応募者がどのようなことを重視しているのかがわかります。
5 事後連絡 面接結果の通知方法と今後のスケジュールなどを伝えてください。書面を用意して渡してもいいでしょう。
採用で欲しい人材を見抜く質問例 協調性や人柄を知る
ここでは、能力やスキルを確認する一般的な質問ではなく、私が毎年100人以上を面接する中で使っている質問をご紹介します。
1 チームで協調性をもって働けるかを確かめる質問
・これまでにチームで取り組んだことでその時のあなたの役割は何でしたか?
・その取り組みの結果は?
・取り組みで苦労したことは何ですか?
・チームのまとまりを保つためにあなたはどのような行動をしますか?
・チームワークの重要性とそれを感じた具体的なエピソードがあったら教えてください。
2.性格、人柄、価値観を確かめる質問
・周囲の人があなたに抱いているイメージを動物に例えたら?
・会社選びの基準を教えてください
・これまでの大失敗とそのときにどのように気持ちを切り替えましたか?
・将来はどのようなキャリアを積んでいきたいと考えてますか?
・これまでに達成できた目標とそのために行った努力は?
・これまで困難に思った課題について教えてください。
・入社したらどのように働いていきたいですか?
・いま何かチャレンジしていることはありますか?
・あなたの「黒歴史」と「白歴史」を教えてください。
これらの質問への回答に対して「もう少し詳しく教えてください」「なぜ?」「どうして?」と深掘りをしてキャッチボールになるように心がけてください。
スキルは教育できますが性格と人柄はなかなか変えられないです
採用面接での禁止事項とNG質問
採用面接での禁止事項は応募者に不快感や不信感、不安感を抱かせないことです。
面接では聞きたいことを何でも聞いていいわけではありません。
応募者の人権やプライバシーに十分に配慮し、応募者の能力や適性を知るための質問に限定してください。
やってしまいがちな採用面接でのNG質問
・今恋人がいますか?(恋人に関する質問)
・結婚する予定がありますか?(結婚に関する質問)
・購読している新聞は?(思想・信条に関する質問)
・信仰している宗教はなんですか?(思想や宗教に関する質問)
・尊敬する人物は誰ですか?(思想・信条に関する質問)
※以前は許された質問ですが近年はNGとされる場合があります
・あなたの出身地はどこですか?(出身地・戸籍に関する質問)
・家族構成を教えてください。(家族に関する質問)
・親の仕事を教えてください(家族に関する質問)
・あなたが住んでいるのは賃貸ですか?持ち家ですか?(住宅に関する質問)
・母子家庭ですか?(家庭環境・生活環境に関する質問)
就職差別にもつながる質問なので絶対にNGです
採用面接で採ってはいけない人とは
採用で採ってはいけない人を見極める評価軸の一つは「性格(マインド)」です。
「能力(スキル)」はあとから教育は可能ですが「性格(マインド)」の教育は難しいです。
では、どのようにして「性格(マインド)」を見抜くのか。
「性格(マインド)」の要素として特にチェックしたいのが「自己評価」「組織内位置認識」です。
「自己評価」が強すぎると自分を主観で評価しすぎて客観視できないことになります。
自己肯定感は必要ですが、過剰すぎると他者の意見を聞いたり、失敗の要因をすべてまわりに押し付けてしまいます。
採用で採ってはいけない人を見極めるもう一つの評価軸は「組織内位置認識」で、組織において自分の立場を正確に理解できるか、ということです。
この組織内位置認識が弱い人には、自分が周囲よりも偉いと勘違いしたり、同僚や後輩、さらには上司の批判を繰り返したり、自社の批判をするなど問題行動を起こすようになります。
採ってはいけない人を見極める「自己評価」「組織内位置確認」質問例
「自己評価」が強い人を見抜く質問は
「これまでに全力で取り組んだ仕事や活動とその成功度合いを教えてください」です。
回答が「工場で新しい生産レーンを設置し、仕事が終わったときに皆が笑顔で喜んでくれたことです」
この回答は成し遂げた仕事への評価が自分の主観にすぎません。仕事を客観視できない傾向が強いです。
一方「生産効率が50%UPし、全国の販売店に遅滞なく発送できて全社売上が5%あがったことです」という場合は成果を数字で評価することができていますので「自己評価」が過剰ではありません。
「工場の機器の更新で私が所属するチームが、最も価格の高い機材の更新を担当し納入業者の価格を見直し、見積よりも低価格で納品し工場の稼働につなげることができました」という答えの場合は、自己評価が過剰で自己顕示欲が強いといえます。
主体的に行動するのはいいのですが、成果を自分基準で考えすぎるのは、自己評価が強すぎる人に多い傾向です。
「組織内位置確認」が正しくできているかどうかは新卒の場合は「大学やサークルの良い点と悪い点を言ってください」です。所属している組織の悪い点が多くなると「組織内位置確認」が正しくできていない可能性が高いです。
中途採用の場合は「転職理由を深掘り」しましょう。
転職理由を突き詰めていって最終的に「会社批判」に落ち着いたら「組織内位置確認」ができない人ということになります。
採用面接で欲しい人材と採ってはいけない人を見抜く質問 まとめ
1 欲しい人材の見極めは協調性と性格が評価軸
2 面接の質問は能力や適性に限られ、思想信条や家族構成、出自はNG
3 採ってはいけない人のポイントは「自己評価」と「組織内位置確認」
最後まで読んでいただきありがとうございます。
コメント
コメント一覧 (2件)
[…] 採用面接で欲しい人材と採ってはいけない人を見抜く質問 […]
[…] 採用面接で欲しい人材と採ってはいけない人を見抜く質問 […]