採用活動で動画は効果的なツールとなっています。
むしろ不可欠なツールになりつつあるといっても過言ではないかもしれません。
動画は情報量では活字に劣りますが、訴求力は活字をはるかに凌ぎ心に強く訴える力があります。
採用動画をつくりたくても、いきなり作るには心理的ハードルが高いかもしれませんが、撮影機材は進歩しスマートホンでも十分なクオリティの映像が撮れます。
編集ソフトも普及しているので、撮影して編集することはそれほど難しいものではなくなっています。
しかし、心を揺さぶるような映像作品を作るには相当の技術が必要になりますが、一定程度のクオリティの採用動画であればポイントを押さえると作れるようになります。
この記事では、採用活動に欠かせなくなりつつある採用動画の作り方と使い方を、CMなどの映像作品を制作していた社会保険労務士資格を持つ大手企業の人事部管理職が解説します。
需要が高まるyoutubeを使った採用活動
コロナ禍は世界の在り様を大きく変えました。
採用活動も例外ではなく、コロナ禍以前には当たり前にできていた対面での採用活動が大きく制限され、最も厳しい時期は不可能になっていました。
企業説明会や就職イベントなどで就活生と直接会うことができなくなり、コロナ禍以前とは違った手法で就活生にメッセージを届けなければならなくなり、新たな採用活動の手法としてオンラインでの動画配信が定着するようになってきました。
ビズリーチの調査では、90%以上の企業が採用活動にオンラインを使ってることが明らかになっています。
オンライン採用活動は企業にもコスト削減メリットがあります
採用動画で志望度も上がる
オンラインでの採用活動は当たり前となっていますが就職活動中の学生のうち7割が採用動画を視聴していて、
そのうち46%がyoutubeで採用動画を視聴しています。
youtubeで面白動画を配信すればリアルの採用活動では決してリーチできない就活生への拡散も期待できます
「採用動画はあったほうがいいか?」という問いには、就活生の90%は採用動画はあったほうがいいと考えています。
さらに興味深いのは、採用動画を視聴した後の志望度の変化です。
採用動画を視聴した就活生のうち73%が「志望度が上がった」と答えています。
まとめると、採用動画を視聴してもらえれば志望度を高める効果が期待でき、より多くの就活生に採用動画を届けるツールとしてyoutubeは欠かせないものになっているのです。
映像の訴求力は絶大です!
就活生に響く面白い採用動画の作り方
採用動画には目的に応じて大きく2種類に分けられます。
就活生が抱く企業イメージを向上させるための動画と、企業や業務への理解度を高めるための動画です。
イメージ向上を狙った採用動画はyoutubeやCM、HP、採用イベントなどで不特定多数に視聴してもらい、まず自社の存在を知ってもらい、興味を持ってもらうための動画です。
面白おかしいというものではなく、感性や知的好奇心に訴える「面白い」動画が求められます。
●イメージ向上動画
・尺は1分以内
・説明はできるだけ省く
・イメージに訴える
・外注してクオリティを上げる
企業への理解度を高める動画は会社説明会で主に上映します。イメージ向上動画と一緒に自社HPに載せてもいいでしょう。
目的は自社への採用に応募した(もしくは応募の意思を固めつつある)就活生に、より会社の仕事や業界のことを理解してもらうためです。
●企業理解向上動画
・説明が主体
・尺は10分以内
・自社制作も可能
就活生の心に響く面白い動画を作るポイント BGMは必須
心に響く採用動画の作り方を段階ごとに解説します。
第一段階 ターゲットとメッセージを定める
①求める人物像(ペルソナ)を明確に
②伝えたい採用メッセージを表現するキャッチコピーをつくる
最も重要なポイントです。
採用動画つくりの全ての行程でペルソナをイメージしながらぶれることなく制作します。
「このカットはペルソナが興味を持ってくれるか?」など全ての判断基準は「ペルソナ」です。
採用活動全体を通じてペルソナ設定は不可欠ですよ
第二段階 構成を考える
求める人物像(ペルソナ)が決まったら、ペルソナに最も訴求するわかりやすい構成を作ります。
鉄則は「いい映像から先に」です。
・伝えたいメッセージを体現する映像は何か
・音(インタビュー)を加える
・ポジティブな印象を与えるエンドカット
・強調したいポイントが最も伝わる構成
・メッセージに即したBGM
「起承転結」が基本ですが、起承転結にこだわりすぎると説明的になります。
起承転結を多少崩してもいい映像を先にもってきて構成を組んでください。
構成を組まずに撮影を開始してしまうと編集段階で映像が足りくなったり、要素が足りなくなることがあり二度手間になります。
第三段階 取材
構成を元に取材します。
編集を考えて以下のポイントを押さえると作業効率があがります。
1 アップを撮ったら広い画角(サイズ)でも撮影する
2 カメラはあまり振らない
3 ズームイン、ズームアウトは使いにくいので多用しない
4 1カット10秒以内、シャッターを切ろうと思ってから10秒そのままホールド
取材をしていていいアイディアが浮かんだら、新たに撮影要素に加えます。
現場で生まれるアイディアを活かし構成を変えることを躊躇しないことでクオリティが上がります。
構成を変えたら、映像が足りなくなったり起承転結がくずれたりしないかな?
撮影してみて合わなければ使わなければいいだけです
第四段階 編集
編集では捨てることを厭わないことが重要です。
イメージ向上動画は原稿情報は極力省きます。企業理解向上動画でも原稿は短めに。
1 シーンとシーンのつなぎ目は映像のサイズを変える(例 アップの次は広い映像)
2 字幕スーパーは文字数少なめにポイントを絞って入れる
3 BGMのテンポに合わせて映像をつなぐ、BGMで一番の盛り上がりのタイミングから逆算して映像をつなぐ
編集段階で特に注意することはBGMです。
BGMの選曲とタイミングに合わせた編集で印象は大きく変わります。
「音切り」という編集用語がありますが、音に合わせて映像をつなぐという意味で、曲のサビに合わせてハイライトシーンを持ってくると印象が大きく変わります。
アーティストのPVなどは殆どが「音切り」です。
映画でもハイライトはBGMのタイミングとシーンがシンクロしていますよ
筆者が選ぶ面白い採用動画
建設会社の採用動画で体を鍛えることが好きな人材をターゲットに絞り、「土木工事で仕事をしながら筋肉ムキムキになろう」というキャッチコピーの「株式会社川邊組」です。
インパクトも十分です。
株式会社ADKホールディングスは大手広告会社です。
「スタメン採用」というキャッチコピーで、欲しい9つの人材をスタメンとし、タイプ別に表現しています。
BGMのリズム感を活かした「音切り」を駆使しているのが特徴的です。
チャレンジとボトムアップという企業理念もしっかり伝わり、広告というコミュニケーションのプロ集団なので、さすがのクオリティです。
公務員採用でヘビーメタルというインパクト絶大の長浜市役所の採用動画です。
「We Want Ones-長浜市役所で働こう-」というキャッチコピーが随所にちりばめられ、作品の中盤で美しい風景のシーンでは大きく曲調を変えていて、音楽の効果が絶大です。
奇抜でありながら街づくりを仕事とする仕事愛を真面目に伝えています。
映像も音楽も市役所職員が作っているので、外注しなくてもここまでできることがわかります。
採用動画の使い方
イメージ向上動画はまずyoutubeにUPするので事前に自社のyoutube公式アカウントをつくっておきましょう。
つぎは自社の採用HPにUPします。
マイナビやリクナビなどの就職サイトの自社記事にUPするのも重要です。
新卒の就活生はtwitterを活用しているので、動画をUPしたらtwitterでツイートすることも効果的です。
会社説明会の会場でエンドレスで流し続けたり、WEB説明会でも説明会開始までエンドレスで上映したり、
できるだけ多くの就活生の目につくようにします。
企業理解向上動画は、自社採用HPにUPしWEBでの会社説明会で使用します。
youtubeにUPしておくのもおすすめです。
新卒採用動画と中途採用動画の違い
新卒採用向けの動画の場合、社会人経験のない就活生がターゲットなので説明要素を少なくしましょう。
出演させる社員も入社数年以内の若手を中心に、自分の3~5年先のイメージを抱ける人選をします。
一方、中途採用動画の場合は仕事経験を積んだ即戦力が主なターゲットなので、仕事内容をしっかり説明し、入社したらどのようなキャリアパスでスキルアップが期待できるかを動画に盛り込みます。
出演させる社員も経験者(中途)採用で入社して活躍している先輩にします。
youtubeを使った採用動画 まとめ
1 採用活動で動画は必須アイテム
2 youtubeでの配信は広くメッセージを伝えるのに有効
3 イメージ向上動画と企業理解向上動画は目的が違うので作り分ける
最後まで読んでいただきありがとうございます。
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