転職活動をしていて退職と就職の間に空白期間が発生することがあります。
退職してから次の就職先に入社するまでに一定の空白期間が生じるのは当たり前なのですが、問題はどのくらいの空白期間であればマイナス評価にならないか、ということです。
毎年経験者採用をしていて千枚近いエントリーシートを読んで採点していますが、ほかの面接官の評価をまとめると、概ね6か月を境に空白期間の長さが懸念されるようになります。
一方で数年の空白期間があっても採用に至るケースもあります。
空白期間で転職活動の結果が左右されないためには、空白期間が生じた理由とその間に何をしていたのかを、説得力をもって説明できるかがカギになります。
この記事では、前職を退職してから就職するまでの「空白期間」について、不利にならない理由の答え方と、税金や保険などの手続き方法について、10年以上経験者採用を担当している社会保険労務士資格を持つ大手企業の現役人事部管理職が解説します。
転職で何もしてない空白期間(ブランク)の企業側の見方
転職活動のために空白期間が生じるのは当たり前のことなので、空白期間が存在することについては企業側は特に問題視はしません。
問題となるのは空白期間の長さです。
空白期間が半年くらいまでは問題はありません。
しかい半年を超えると企業側は以下のような懸念を抱くようになります。
①能力がなかったり何か問題があって採用されない人材なのではないか?
②職業観に問題がある人なのではないか?
半年を超える空白期間(ブランク)が不利にならないための理由
空白期間が半年を超える場合に企業が抱く懸念ごとに、マイナスにならないための理由を紹介します。
①能力がなかったり何か問題があって採用されない人材なのではないか?
半年以上転職活動をしていても就職できていなければ、採用されない人なのでは?と思われてしまいます。
このため、ただ転職活動だけをしていたのではなく、何かの目標のために活動をしていた期間であったり、家族内での事情があったことを伝えることが重要です。
「@@の資格取得の勉強をしていた」
→取得した資格の証明や勉強の成果を明らかにする必要があります。
「海外留学をしていた」
→留学の証明が求められる場合があります。
「ハローワークで職業訓練を受けていた」
→職業訓練の修了証書などの提出が必要になる場合があります。
「親の介護や子の看護をしていた」
→就労に問題がないことをはっきりと伝えましょう。うそをつくと入社後も話を合わせる必要がありストレスになります。
「病気の療養をしていた」
→現在は完治して就労に問題ないこと、または一定の条件下での就労になることを伝えます。
②職業観に問題がある人なのではないか?
仕事に就くことに意欲的ではなかったり、地道に仕事を進めていくことが苦手な人で、新たに採用しても勤務態度に問題がでてくるのではないか?と思われる可能性があります。
この場合も、①の場合と同様に空白期間が半年になってしまった理由と空白期間で得たものを明らかにします。
何もしていなかったり、就職活動がうまくいかなかった、というのはマイナス評価につながります
空白期間が半年以上ある場合の面接の答え方
①自信をもって話す
②スキルアップに挑戦したことを強調
③その結果学んだこととエピソードを交え具体的に伝える
空白期間が半年以上あっても転職に成功した人はたくさんいます。
空白期間があったことに負い目を感じないで、成長のための期間だったと考えて自信をもって臨みましょう。
空白期間が半年以上ある場合、転職エージェントのサポートは有効
空白期間があって転職活動に不安がある人はプロの力を借りるのもありです。
転職エージェントを使うと様々なサポートが無料で得られます。
1 プロ目線でのアドバイスが得られる
2 履歴書やエントリーシートの書き方を添削してもらえる
3 企業選びのポイントを解説してくれる
4 自分の適性にあった企業を推薦してもらえる
5 面接日程などの調整をしてくれる
6 内定後の給与交渉などもしてくれる
新卒で入った会社を1年未満で辞めたけど第二新卒転職で普通に正社員になれたので不安なら転職すべき
仕事や人間関係、待遇とか不満が合って続かなかったけどプロフにある第二新卒向けエージェントは企業調査されてておすすめです
辞めて直ぐ相談したから空白期間ほぼ無しでした— うり (@w09Hg) November 10, 2022
実際に私の会社で採用実績のある転職エージェントで、今後も転職者の紹介を受けようと考えているエージェントを紹介します。
「マイナビAGENT」というエージェントで、企業と転職者の双方の希望を親身に考えてくれて入社後の満足度が高いエージェントです。
無料ですので転職を考えるならまずは登録しておいた方が無難です。
大手転職エージェントなので転職希望者の強みをわかりやすく伝えてくれて、フォローも適切です。
こちらは空白期間が長くなったり、未経験者や20代の若年層の転職支援に強みがある「第二新卒AGENT NEO」です。
企業側からすれば躊躇してしまいがちな未経験者や長期の空白期間がある人材について、転職希望者に寄り添いながら、企業側が求めていることを丁寧に落とし込んでいて、転職に不安を覚える人には役に立ってくれるエージェントです。
空白期間がある場合の社会保険や税金の手続き
空白期間の保険や税金の手続きです。
企業で働いている場合に関係する保険は「健康保険」「厚生年金保険」「雇用保険」「労災保険」です。
「健康保険」と「厚生年金保険」は社会保険、「雇用保険」と「労災保険」は労働保険に区分されています。
空白期間の社会保険(健康保険、厚生年金保険)手続き
健康保険の手続き
働いていた企業で健康保険に加入していた場合、退職すると被保険者資格を喪失します。
被保険者資格を喪失し転職先が決まるまで、健康保険に加入するには3つの選択肢があります。
1 国民健康保険に加入
前職の健康保険被保険者資格を喪失してから14日以内(退職日の翌日から14日以内)に手続きをしなければなりません。
2 前職の健康保険で任意継続被保険者として被保険者資格を継続する
任意保険で継続できるのは最長2年間で、以下の2つの要件を満たしている必要があります。
・退職日以前に継続して2ヶ月以上、被保険者であった
・退職日の翌日から20日以内に手続きを行う
任意継続ではすべて自分で負担しなければなりません。また原則として任意継続の途中で国民健康保険に切り替えたり、家族の扶養に入ったりすることはできません。
3 家族の誰かの健康保険の被扶養者になる。
健康保険の被扶養者の要件として「年収130万円以下、かつ被保険者の年収の2分の1以下」と定められいるので、条件を満たすかどうかを確認する必要があります。
厚生年金保険の手続き
厚生年金保険は退職すると被保険者資格を失います。
転職先に入社するまでの間は国民年金の保険料を自分で支払う必要があります。
国民年金は20歳以上60歳までは被保険者資格を継続し、会社に入っている時は厚生年金の保険料に国民年金の保険料も含まれ会社と折半して支払っていました。
会社を辞めると当然ながら会社は厚生年金保険料を払わないので、自分で国民年金の保険料を支払うことになります。
退職後14日以内に年金事務所に出向いて手続きをするのがルールになっています。
国民年金の手続きを怠って保険料が未納になると将来もらえる年金額が減るので注意が必要です
空白期間の労働保険(雇用保険、労災保険)の手続き
雇用保険の手続き
退職して無職になるといわゆる「失業手当」(雇用保険の基本手当)が貰える場合があります。
支給条件
1 失業していること
2 離職の日以前2年間に、被保険者期間が通算して12カ月以上あること
給付日数 90日~360日
一日当たりの給付額(基本手当日額)
原則として離職した日の直前の6カ月に支払われた月給の合計を、180で割って算出した金額の50~80%(60歳~64歳には45~80%)となり、賃金の低い人ほど高い率に設定されています。
基本手当日額は年齢区分ごとに上限額が定められています。
年齢 | 基本手当日額の最高額 |
30歳未満 | 6,835円 |
30歳以上45歳未満 | 7,595円 |
45歳以上60歳未満 | 8,355円 |
60歳以上65歳未満 | 7,177円 |
失業手当の受給手続き
まずハローワークに出向いて受給資格の決定が行われるところから始まります。
受給資格の決定を受けた日から7日間は「待機期間」として、失業手当は支給されません。
その後は、退職理由が「自己都合」なのか、それとも「会社都合」なのかによって流れが異なります。
自己都合で退職した場合は、待機満了の翌日からさらに原則2カ月間(過去5年間に2回以上自己都合で離職している場合は3カ月間)、懲戒解雇で退職された方は待機満了の翌日から3カ月間、失業手当は支給されません。これを「給付制限」といいます。
自己都合で退職した場合は、離職後すぐに給付を受けることができない点に注意が必要です。
労災保険の手続き
労災保険は会社ごとに適用されるので退職しても手続きは必要ありません。
空白期間の税金の手続き
転職するときには「所得税」と「住民税」の手続きが必要になります。
「所得税」は転職すると年末調整ができなくなります。
転職元の会社から「給与所得の源泉徴収票」を受け取り転職先に源泉徴収票を提出します。
転職先が決まらず、1カ月以内に転職をしない場合は自分で確定申告をしなければいけません。
企業に属していると11月~12月の時期に年末調整とよばれる作業をしていますが、
企業に属していないと年末調整されないので、同様のことを確定申告でする必要があり、確定申告をしなければ、税金を多く支払っている場合その分が返金されません。
「住民税」は転職先で書類に所定の事項を書かなければなりません。
そのため、今まで勤めてきた会社から「特別徴収に係る給与所得者異動届出書」を受け取り、それを転職先に提出する必要があるのです。
転職の際の税金を納める方法は大きく分けて『普通徴収』『特別徴収』の2つがあります。
それぞれの徴収方法の特徴についてご紹介します。
普通徴収
普通徴収とは自分で税金を納める方法で、次の転職まで1カ月以上の期間がある場合に適用さます。
これは6月1日~12月31日の間で退職し、退職時に税金の一括徴収をしないと担当者に伝えると自動的に普通徴収に切り替わります。
納付時期は6月、8月、10月、1月と年に4回で、一年分の納付額を4回に分割して支払うことになるため、1回の徴収額が高額になりやすいですが、クレジットカードでの支払いも可能です。
特別徴収
特別徴収とは企業側が税金をまとめて支払ってくれる制度で、給与から天引きして支払っているので、納税者は特に手続きは必要ありません。
特別徴収は普通徴収とは異なり、毎月徴収されます。自分の状況に応じて普通徴収、特別徴収を選択しましょう。
1ヶ月以内に転職先に就職する場合は、特別徴収が継続できる場合がありますので、転職先の担当者に申し出てください。
税金は手続きがたくさんあるので、最寄りの税務署に相談してみましょう
転職の空白期間の対応と保険と税金の手続き まとめ
1 空白期間が半年以上の場合は空白期間の理由と空白期間で学びと成長の説明が必要
2 空白期間が半年以上の場合は転職エージェントの力を借りるのも有効
3 保険と税金はそれぞれに手続きが必要
最後まで読んでいただきありがとうございます。
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