採用がうまくいかない原因と対策をフェイズごとに解説

採用担当者は人員の確保が求められていますが、計画通りに人員が充足することはほとんどないのではないでしょうか。

人員が計画通りに採用できない場合、原因が何でどう改善するのかが求められ、頭を悩ませている採用担当者も多いと思います。

採用は景気、就職市場に入ってくる新卒の就活生数、地域性などの外的な要因もありますが、使用する採用媒体の選び方、求める人物像の設定方法、ターゲットへのアプローチ方法、選考方法など企業内で改善できるポイントが多くあります。

この記事では採用がうまくいかないと頭を悩ませる採用担当者向けに、状況別に採用を改善する方法を、10年以上新卒と中途採用を担当し、毎年1000人以上の就活生と向き合っている社会保険労務士資格を持つ大手企業の人事部管理職が解説します。

目次

新卒採用で苦戦している場合の原因と対処法

新卒採用がうまくいかない場合は、各フェイズごとに原因を分析して対策を講じると効果的です。

フェイズ① 採用方針立案段階

①求める人物像が明確に定まっていない

求める人物像が「やる気のある人」「営業力のある人」・・など漠然としたものになっていないでしょうか?

自社内で活躍しているプレイヤーを分析し、社内各所で必要としている要素をヒアリングし、必要な要素を兼ね備えている架空の人物(ペルソナ)を設定します。

できるだけ具体的な人物像を定めることで、求める人物像が明確化します。

②採用計画が事業計画に同調していない

企業の事業計画に合わせて必要人員数と配置セクションが決まります。

例えば新商品開発を計画し研究職が必要な時に、総合職の社員を多く採用すると事業計画と採用がマッチしないことになり人材不足と人余りが同時に起きます。

事業計画と採用計画を同調させることは採用方針を立てる段階で必要なことになります。

男笑顔

事業計画から求める人物像を設定するのがポイント

フェイズ② 採用計画策定段階

①採用の作業が整理されていない

採用の作業は採用計画の立案、広告媒体の選定と運用、各イベントの企画と運営、応募者管理、面接などの選考の運営と管理、内定後のフォローなど様々な作業があります。

作業が整理されていないと常にやってくる作業に追われ仕事の質が下がります。またメインの担当者が欠けるとたちどころに採用がストップしてしまいます。

あらかじめ作業を棚卸して、簡略化したり分担できる作業は分担し、一人でやっている作業は可視化し単純化して誰がやっても質が下がらないようにしておきましょう。

作業のための作業になっていませんか?

フェイズ③ 採用スタート段階

ターゲットにリーチできていない

ターゲットにリーチするツールとして

1採用サイト 2SNS 3自社サイト 4 採用イベント参加 5 ダイレクトリクルーティング 

などのツールがありますが、最も適当なツールは何かということを検討して媒体を選ぶことが重要です。

新卒で広く人材を集めたいのに、ダイレクトリクルーティングだけに頼ると母集団が形成されず人数を確保できなくなります。

上記のツールを組み合わせて効果的にリーチしていきましょう。

②求人内容が響かない

伝えたい内容が多くつい文字情報が中心になっていませんか?

100の文字よりも1枚の写真、1000の文字よりも30秒の動画のほうが心に訴える力があります。

心に響かせたいのならできるだけ動画や写真、図で訴えましょう。

③募集団が形成できていない

母集団の課題は量と質になります。

量の場合は自社サイトを早く立ち上げ、採用サイトを同業他社よりも早くオープンさせます。

リーチした層にあわせた媒体を使って露出を高めると量は集まります。

質は求める人物像を明確化し、情報発信頻度を高めてキャリアパスや人材育成プランをアピールし、自社のエース級の人材による仕事のやりがいなどを発信するなどすると意識の高い層が集まりやすくなります。

母集団の質は入社後のミスマッチにもつながります

フェイズ④ 選考時 

①選考スピードが遅い

選考ステップが多いことと、ジャッジに時間がかかりすぎることが原因です。

選考ステップをできるだけ簡略化し、ジャッジも評価ポイントを絞りデッドタイムを決めておくと効果的です。

②候補者の内面を評価できていない

面接官のスキルに課題があります。

候補者のスキルを評価できる「STAR質問法」を面接官に習得させるなどのスキルアップを図りましょう。

STAR質問法

S Situation(状況) どんな状況だったのか?

T Task  Target(目標や課題)そこでの課題や目標は何だったのか?

A Action(行動) 課題や目標達成のために何をしたのか?

R Result(結果) その結果はどうなったのか?

STAR質問法はスキル測定に効果的ですよ

フェイズ⑤内定段階 

①内定の意図が伝わっていない

評価ポイントは何だったのか、入社後に期待することは何かを明確に伝えないと、自分がなぜ内定を得たのかが分からなくなり、入社へのモチベーションが下がってしまいます。

選んだ理由をはっきり伝えて内定者の気持ちをホールドしましょう。

フェイズ⑥ 内定フォロー段階  

①定期的にコンタクトを取っていない

内定者は放っておかれるのを最も嫌いますが同時に過干渉も嫌がります。

定期的にコンタクトを取って近況を聞き、負担にならない程度の研修や課題を与えましょう。

②内定者同士の交流ができていない

内定者が複数いる場合は入社同期になります。

入社同期の繋がりが深まれば内定辞退の可能性も下がりますし、入社後の離職も一定程度抑えられます。

SNSのグループを作って交流したり、負担にならない程度に内定者を集めて研修をするなどして内定者同士の交流を促しましょう。

男笑顔

新卒採用は特に横の繋がりが大切ですよ

中途採用、キャリア採用で苦戦している場合の原因と対処法

中途採用やキャリア採用で苦戦している場合の各フェイズごとの原因と対処法です。

フェイズ① 採用方針立案段階

①明確に求める人物像が定まっていない

中途採用やキャリア採用の場合は特に即戦力の意味合いが強くなるので、新卒以上に人員を補充したいセクションとのすり合わせが重要になります。

新卒採用と同様に自社内で活躍しているプレイヤーを分析し、社内各所で必要としている要素をヒアリングし、必要な要素を兼ね備えている架空の人物(ペルソナ)を設定します。

フェイズ② 採用計画策定段階

①採用の作業が整理されていない

新卒採用と同様に作業を整理しましょう。

特に通年で中途採用やキャリア採用を行う場合は選考を随時行うことになりますし、中途の場合は在籍中に仕事をしながらになりますので、拘束回数は極力少なくする必要があり、面接を集約するなどの調整が必要になります。

新卒と同じ採用ステップでは敬遠されます

フェイズ③ 採用スタート段階

ターゲットにリーチできていない

ターゲットにリーチするツールとして

1採用サイト 2SNS 3自社サイト 4 採用イベント参加 5 ダイレクトリクルーティング 

などのツールがありますが、最も適当なツールは何かということを検討して媒体を選ぶことが重要です。

中途採用やキャリア採用の場合は、求人を出すタイミングも重要になります。

年年末年始やゴールデンウイーク、お盆や休みなど仕事が休みになるタイミングで転職を検討する人も多いので、休みを挟んで求人を出すことも大切です。

中途採用やキャリア採用の場合で仕事が忙しく転職活動に時間が割けない人はダイレクトリクルーティングを利用する場合が多く、新卒以上にダイレクトリクルーティングが有効となっています。

中途は転職エージェントを使うケースも多いです

フェイズ④ 選考時

①選考スピードが遅い

中途採用やキャリア採用の場合は選考ステップが多すぎると敬遠される傾向があるので、要点を絞って候補者の負担を減らしましょう。

②求職者の内面を評価できていない

即戦力として期待される中途採用やキャリア採用では新卒以上に候補者の能力を測る必要があります。

面接では候補者の能力を評価できる「STAR質問法」で徹底的に深掘りしていきましょう。

STAR質問法

S Situation(状況) どんな状況だったのか?

T Task  Target(目標や課題)そこでの課題や目標は何だったのか?

A Action(行動) 課題や目標達成のために何をしたのか?

R Result(結果) その結果はどうなったのか?

フェイズ⑤内定段階

①入社までのスケジュール設定

中途採用やキャリア採用の場合、内定者が退職するのに時間が必要な場合があります。

内定者の都合をよく聞いて入社までのスケジュールを組みましょう

フェイズ⑥ 内定フォロー段階

①離職作業のフォロー

中途採用やキャリア採用の場合、離職作業が順調に進んでいるのかを定期的にヒアリングし、困っている場合は相談に乗ってフォローしましょう。

中途採用は円満に離職して入社するまで丁寧な作業で

リファラル採用で苦戦している場合の対処法 縁故採用との違い

リファラル採用とは、社員に人材を紹介・推薦してもらう採用手法のことを言います。

いわゆる「縁故採用」とは違い、自社の事情をよく理解した社員が、信頼が置けて一緒に働ける人材を紹介してもらう採用手法で、近年導入する企業が増えています。

リファラル採用がうまくいかないケースとして以下の場合があります。

①目的、目標が共有されておらず、社員の動機付けがあいまい

なぜリファラル採用を導入するのか、紹介された人材はどのようなパフォーマンスが期待されているのか、こうした点がリファラル採用にかかわる全員に共有されていないと、制度を立ち上げてもたちどころに頓挫します。

リファラル採用は単なる採用チャンネルの一つとしてとらえるのではなく、社内横断プロジェクトで社員のエンゲージメントを向上させていく施策でもあります。

リファラル採用の目的と達成目標を全社で共有し、短期的に〇人採用するのが目的ではなく、中長期的に会社をよくしていく手段だという意識を浸透させていきましょう。

横断的なリファラル採用プロジェクトチームを組むと効果的

②社内周知が低く、リファラル採用プロジェクトのPDCAがまわらない

社員への周知を募集ポストをメールで送ったりイントラにUPする程度では社員の意識は高まりません。

リファラル採用の進捗状況や、すでに入社したリファラル採用社員の情報を伝えたり、社内説明会を開くなど複層的に周知していきまよう。

社員の取り組みを吸い上げるためのアプリを導入するなどして、社員の具体的な動きを人事セクションが共有し、次のアクションを促していきPDCAをまわします。

こうした動きも随時発信して全社員を巻き込みながらリファラル採用プロジェクトを推し進めていきます。

採用がうまくいかない時の原因と対処法 まとめ

1 採用フェイズごとにうまくいかない原因を分析

2 中途採用は特に採用ステップを簡略化し、内定後のフォローが重要

3 リファラル採用は社内横断プロジェクト化がポイント

最後まで読んでいただきありがとうございます。

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この記事を書いた人

社労士資格をもつ大手企業人事部管理職・工藤です。10年以上新卒採用と中途採用を担当した経験から採用のお手伝いをします。

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