採用活動は手間がかかる作業です。
採用活動は作業工数も多く社内のリソースを多く使う活動なので、人事部門の大きな負担となっている会社も多いです。
一方で採用活動には様々なノウハウが必要で、手法も日々変化しています。
このため設立して間もないベンチャー企業ではノウハウが蓄積されていないため採用がうまくいかなかったり、人手が足りない中小企業では計画的に採用を行えないというケースがあります。
この記事では、近年利用が増えている採用代行について、採用代行を検討している採用担当者向けに、実際に採用代行サービスを使っている社会保険労務士資格を持つ大手企業の人事部管理職が解説します。
採用を外注する採用代行「採用アウトソーシング」普及した理由は?
採用代行(採用アウトソーシング)とは、企業の採用活動について外部に委託することをいいます。
Recruit Process Outsourcingの頭文字をとりRPOと呼ばれることもあります。
日本では2010年ころから徐々に採用代行が普及してきました。
普及が進んだ理由として採用の手段が多用になってきたことがあげられます。
以前はハローワークや大学に求人を出すことが採用広報の主流でしたが、いまは各種採用サービスやSNSなどの普及によって様々な方法で就活生にリーチすることが求めらています。
その結果、採用業務が煩雑になり、人事部などの社内リソースだけでは対応しきれない企業が増えたことによって、採用代行を利用する企業が増えているのです。
採用に限らず企業活動の多くはアウトソーシングされてきていますね
採用代行「採用アウトソーシング」業務委託できる範囲は?
採用代行(採用アウトソーシング)が業務委託できる範囲は採用活動の全てではありません。
採用代行であっても、応募者の合否を判定する部分は企業の経営判断にかかる部分であるため代行することがでできません。
採用代行が請け負える範囲は採用の合否に関わる部分以外なので、どこまでを代行してどこからは自社でやるのかを整理しておく必要があります。
採用代行(採用アウトソーシング)のメリットは
採用代行(採用アウトソーシング)にはどのようなメリットがあるのでしょうか。
最も大きなメリットは採用のプロに任せることで採用業務の質が向上することです
採用活動は就活生の動向を見極めながら、採用サイトを活用したり、SNSなどの新しい手法を駆使するなど日々アップデートされています。
人事部門の担当者が採用専任であることは珍しく、多くの人事担当者は採用以外の労務管理も担当していて、採用だけに注げる時間は限られています。
日々進化する採用活動を採用のプロに任せることによって採用活動の質が上がり、より優秀な人材の確保に繋がります。
また採用は工数のかかる作業で、採用にかかる作業に追われると最も大切な面接と合否判断に集中できなくなりかねません。
採用代行にすることで煩雑な作業から解放され、本来集中すべき業務にリソースを注ぐことができるようになります。
このため採用代行(採用アウトソーシング)は採用スタッフが少なく、ノウハウが十分に蓄積されていないベンチャー企業や中小企業の採用には効果的で、採用代行(採用アウトソーシング)を利用するベンチャー企業や中小企業は多くなっています。
採用代行(採用アウトソーシング)のデメリットは?
デメリットは、採用ノウハウが蓄積されないこと、内定までのプロセスへの関りが減るので、入社するまで内定者のキャラクターを掴みにくいこと、そしてコストがかかることです。
代行費用の相場は数十万~数百万で、よい人材が採用できなかった場合はコストが回収できない「サンクコスト」になってしまいます。
代行を利用する場合、どのような採用をしたいのか、代行業者はニーズをしっかりくみ取って動いてくれるのか、実績はあるのかをしっかり見極める必要があります。
採用代行(採用アウトソーシング)は委託募集で届出が必要
採用代行(採用アウトソーシング)の利用を検討する場合「採用代行に違法性はないのか?」ということが懸念されるといわれています。
結論からいうと採用代行は違法ではありません。
しかし「委託業務」にあたるため「許可」と「届出」が必要です。
厚生労働省職業安定局発行の募集・求人業務取扱要領では採用における「委託業務」は次のように定められています。
「被用者以外の者に報酬を与えて労働者の募集に従事させようとするときは厚生労働大臣の許可を得ること、被用者以外の者に報酬を与えることなく労働者の募集に従事させようとするときは厚生労働大臣に届け出ることが必要である」
このため採用代行は、「委託募集(職業安定法第36条)」に該当するので、所轄の都道府県労働局長から厚生労働大臣から「許可」を受けたり、届け出をしなければなりません。
この許可と届出は依頼する側(企業側)と依頼を受ける側(代行業者)のどちらも必要です。
届出は代行業者に依頼することもできます
採用代行(採用アウトソーシング)とコンサルタントの違いは?
採用コンサルティングは、採用活動の方向性や戦略など総合的な視点での意思決定に助言をします。
広い視野に立つという点では経営者や人事の責任者に近い役割といえます。
一方、採用代行は応募者の集客や説明会・面接など実務面を代行します。
採用コンサルティング会社の中にはコンサルタントサービス内容に実務面の代行業務が含まれることもあります。
一方で採用代行業者が、採用戦略や方向性の決定から携わることもあり、採用コンサルタントと採用代行の厳密な区分はなくなってきているといえます。
ベンチャーや中小企業には効果的 採用代行 まとめ
1 採用代行サービスを利用する企業は増加中
2 代行を利用することで合否判断などの特に重要な判断に集中できる
3 採用代行を利用するには許可・届出が必要
最後まで読んでいただきありがとうございます。
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