企業側にとって適性検査は面接やグループディスカッションではわかりにくい性格傾向や、基礎学力、思考能力などを数値化して知ることができます。
一方就活生にとっては、就活では避けることができない関門のひとつでありながら検査結果がフィードバックされれば、企業選びに活用する自己分析ツールになります。
数多くの適性検査がありますが、それぞれ特徴があり新卒採用に向いているもの、中途採用に適しているもの、営業職や研究職などの業種に応じて使いわけるものなど様々です。
自社に合った適性検査を選びかたと手軽に受けられフィードバックも受けられる適性検査について解説します。
この記事では採用で使われる適性検査について企業側にも就活生側にも役に立つ情報を、10年以上新卒採用と中途採用を担当している社会保険労務士資格を持つ大手企業の人事部管理職が解説し、無料で試せる例題も公開します。
採用に欠かせない適性検査の活用法
企業側にとって適性検査は選考での評価に使うのが第一の目的ですが、実は母集団形成のための集客や、選考後の内定者確保のツールとしても有効です。
就活生は適性検査を早い段階で受験し自己分析や企業選びに活用したいので、大学によっては適性検査を受検する講座を設けているところもあります。
このため、企業側がセミナーや説明会で適性検査を行い就活生にフォードバックすれば集客につながり早期の母集団形成に有効です。
内定後に適性検査結果をもとに内定者のキャリアプラン相談を設けたり、適性検査結果で同じ傾向のあるハイパフォーマー社員との交流の場を設けたりすると、就職希望度が高まり内定辞退を減らすことができます。
選考だけでなく、内定辞退対策にも使えるんだね
適性検査の主要3検査を徹底比較 対策に役立つ例題も公開
適性検査は数多くの商品が利用されていて、それぞれ特性があり利用料金も幅があります。
ここでは主な3検査について特性と利用料金をまとめます。
1「Compass」早期のネガティブチェックが可能
・「抑うつ」や「ストレス耐性確認」などについて早期のネガティブチェックが可能です。
・自社のハイパフォーマーとローパフォーマー社員の検査結果をもとに、活躍が見込める「人物モデル」を設定
・「採用判定レポート」「面接サポートシート」「マッチングシート」で3種の検査結果
・設問数148問、約20分で受検可能 1000円/人~
例題
数的能力問題:仕事算/水槽算
Xさんがすると8日かかる仕事がある。また、Yさんがこの仕事をすると5日かかる。XさんとYさんが協力してこの仕事をした場合、何日目で終わるか?
(ア)4日目
(イ)5日目
(ウ)6日目
(エ)7日目
(オ)8日目
正解は(ア)4日目です。全体の仕事量を1とすると、Xさんがする1日の仕事量は1/8、Yさんがする1日の仕事量は1/5となりますので、2人が協力した場合の1日の仕事量は1/8+1/5=13/40となります。1÷13/40を計算すると、3.・・・となりますので、仕事が終わるのは4日目のどこかの段階になります。
2「玉手箱」対策は事前学習が高得点のカギ
・SPIと並んでメジャーな適性検査のひとつです。
・難易度が高く事前に学習が必須
・時間制限が厳しい
・1種類の問題形式に複数出題されることがある
・年間利用料 120万
玉手箱は短時間で問題文を理解し、正確に解答していく力が要求されています。
また問題形式1種類につき問題が複数出題されるという特徴もあり、問題のパターンをある程度つかむことができれば、残りの問題もテンポよく回答することができます。
玉手箱は多くの企業が採用している適性検査でありSPIなどと並んでメジャーな検査ですが、玉手箱はSPIよりも練習が必要と言われています。
SPIと比べて玉手箱の方が問題の難易度が高い場合も多く出題形式も特徴的であるため、しっかりと練習をしておかなければなりません。
事前に練習をしておき、難関の玉手箱で合格ラインを越えましょう。
玉手箱は問題を多く解くことが効果的ですよ
3「SPI」年間200万人以上が受験する適性検査の王道
SPIの試験内容は大きく「性格検査」と「能力検査」に分かれ、能力検査は「言語」と「非言語」に細分化されます。
受験方法はリクルートマネジメントソリューションズが開設する「テストセンター」での受験、PCで受験する「WEBテスティング」、企業がマークシート試験で行う「ペーパーテスティング」、企業内でパソコンで受験する「インハウスCBT」があります。
リクルートマネジメントソリューションズによるますと、SPIは事前に過去問を数多く解いてもそれほど結果が変わらないことが証明されているということです。
・利用料 4000円/1人~
有効な対策① PCでの受験に慣れる
PCでの受験では回答してしまうと前の問題に戻れない、手元で計算して入力するなど独特の回答方法があります。
実際の受験のときは説明画面や練習画面が用意されているので、慣れておくことが重要です。
有効な対策② 問題の形式を把握する
以下の問題例に目を通して、出題形式を把握しておきましょう。
出典 SPI無料学習サイト
「SPI」の例題
1 非言語 推論(順位)
P、Q、R、S、Tの5人で徒競走をした。5人の順位について次のことが分かっている。
ⅰ)Rの順位は、Sより上である
ⅱ)Tの順位は、Rよりも上だが、1着ではなかった
ⅲ)Qの順位は、Pより上である
ⅳ)同着の順位の者はいない
(1)次のア、イ、ウの推論のうち、必ず正しいものはどれか。
アQは1着である
イSは5着である
ウ2着はPまたはTである
A アだけ B イだけ C ウだけ D アとイの両方 E アとウの両方
F イとウの両方 G アとイとウのすべて H 必ず正しい推論はない
2 非言語 推論(正誤)
ある企業のグローバル化推進部のメンバーについて、次の3つの情報があった
ⅰ)少なくとも2ヵ国のヨーロッパ国籍のメンバーがいる。
ⅱ)少なくともイタリア国籍が2人とスペイン国籍が2人いる。
ⅲ)少なくとも3人のヨーロッパ国籍のメンバーがいる。
ⅰ)~ⅲ)までの情報は信頼できるとは限らない。そこで、いろいろな場合を想定して推論がなされた。
(1)次のア、イ、ウの推論のうち、正しいのはどれか。
アⅰ)が正しければ、ⅱ)も必ず正しい
イⅱ)が正しければ、ⅲ)も必ず正しい
ウⅲ)が正しければ、ⅰ)も必ず正しい
A アだけ B イだけ C ウだけ D アとイの両方 E アとウの両方
F イとウの両方 G アとイとウのすべて H 正しい推論はない
3 言語(2語の関係)
最初に示された二語の関係を考え、同じ関係のものをア~ウより選びなさい。
芸術:音楽
ア 哺乳類:鯨
イ パイナップル:梨
ウ 農業:稲作
A ア B イ C ウ D アとイ E アとウ F イとウ
4 言語(語句の意味)
最初に示された意味と最も合致する言葉を、選択肢より選びなさい。
しばらくの間
A暫時 B光陰 C漸次 D姑息 E変節
4 性格
以下の質問はあなたの日常の行動や考えにどの程度あてはまりますか。
最も近い選択肢を1つ選んでください。
[ 選択肢 ]
Aに近い
どちらかといえばAに近い
どちらかといえばBに近い
Bに近い
[ 問題1 ]
A:人のことに無関心なのはよくない
B:人のことに深入りするのはよくない
[ 問題2 ]
A:理屈っぽいほうだ
B:情にもろいほうだ
[ 問題3 ]
A:人目を引くことが好きだ
B:あまり目立ちたいとは思わない
[ 問題4 ]
A:人の意見に左右されやすい
B:独りよがりになりやすい
[ 問題5 ]
A:さまざまな変化に対処するのが好きだ
B:計画を着々と進めるのが好きだ
適性検査 中途採用向けはこれ
中途採用では即戦力として活躍できる人材を求めるケースが多いです。
このため中途採用での適性検査は求める人物像にマッチしてるかをシビアに判断していくことになります。
入社後のミスマッチを防ぎ、社内で活躍しているハイパフォーマーの特性に近い人物を採用するには、人物特性に特化した適性検査が求められます。
育成・克服が難しいとされる個人の潜在意識や資質・適性である 「性格」「欲求」「思考タイプ」を測定できる「tanΘ(タンジェント)」が利用されるケースが増えています。
「tanΘ(タンジェント)」は以下の6つのカテゴリ別の中で5~9個の因子ごとに受験者の資質と適性を分析します。
1.オフェンス適性
営業に必要な個別適性を5つの因子で把握。
(積極性、競争性、自主性、自己信頼性、身体性)
2.ディフェンス適性
管理スタッフに必要な個別適性を5つの因子で把握。
(持続性、慎重性、規則性、従順性、共感性)
3.マネジメント適性
マネジメント業務に必要な個別適性を6つの因子で把握。
(指導性、責任感、危機耐性、安定性、協調性、客観性)
4.ストレス診断
業務上のストレス耐性を5つの因子で把握。
(モラトリアム、弱気さ、気分性、内閉性、自尊心)
5.欲求診断
受検者の価値観・モチベーションの源を9つの因子で把握。
(達成欲求、親和欲求、求知欲求、顕示欲求、秩序欲求、物質的欲求、自立欲求、支配欲求、勤労欲求)
6.思考タイプ
物事に対する視点と関わり方を基準に、受検者を4タイプに分化。
(アナリスト、ストラテジスト、ファーマー、ハンター)
先天的な性格や思考にフォーカスしています
求める人材像を具体的に可視化することで、採用の軸がぶれずに選考をすることができます。
適性検査「tanΘ(タンジェント)」Web受験方法
「tanθ(タンジェント)」はWEB受験とペーパー受験のどちらでも受験可能です。
インターネット環境さえあれば、遠隔地からでも約15分で対象者に受検してもらうことが可能で
受検画面にはレスポンシブWebを実装し、PCの他、スマホやタブレット端末でも受験することができます。
適性検査を無料で受ける方法 簡易版職業適性テスト
就活生は就活の早期に適性検査を受けておくことが重要です。
なぜなら、自分の知らない適性や性格傾向を言語化し可視化することができて、就活の軸を定めることや企業選びの参考にできるからです。
就活を始める前に「自分を知る」ための適性検査としては、厚生労働省による「簡易版職業適性テスト(Gテスト)」がおススメです。
自分の適性を知るだけでなく、時分に合った職業、業種、職種も知ることができます。
また、適性検査を実施しフィードバックをしてくれるセミナーやインターンシップを探して受講するという方法もあります。
企業側にすると、セミナーなどで適性検査を実施し、結果をフィードバックすることをPRすれば学生へのアピールにつながり、早期の母集団形成に役立ちます。
採用での適性検査 まとめ
1 選考だけでなく、母集団形成から内定辞退対策まで有効
2 就活生は早期に受験し結果から自己分析や業界選びに活用
3 「玉手箱」は事前に多く問題を解くことが重要、SPIは出題パターンを知る程度でOK
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