採用で求める人物像の決め方と書き方、基準に当てはまらない場合は?

採用でまず最初にすることは求める人物像(ペルソナ)の設定です。

ここが定まっていないと評価の軸が存在しないことになり、募集広報の段階から内定まで一貫した採用活動ができないことになってしまいます。

とかく抽象的になりがちな「求める人物像」をどう具体的な文言に落とし込んでいくか、採用担当者が頭を悩ますポイントです。

この記事では、採用担当10年以上の経験と実績から求める人物像の設定方法と、基準に当てはまらない場合の評価方法を社会保険労務士資格を持つ大手企業の人事部管理職が公開します。

目次

採用で求める人物像(ペルソナ)とは

求める人物像(ペルソナ)とは、会社が成長していくために必要な人物像をできるだけ具体的な要素に落とし込んで言語化した人物像で、採用広報から面接、内定まで一貫した基準となるものです。

求める人物像(ペルソナ)の設定を解説します。

  1. 経営理念、経営ビジョンをベースに、人員充足度、人員異動見通し、各部署での優秀社員(ハイパフォーマー)が備える要件(コンピテンシーモデル)などを取材し、必要な人物が備える要素をまとめます。
  2. まとめた要素を上記の人物要件に分類します。重複する要素を整理しておきます
  3. まとめた人物要件に優先順位をつけます。そのうえで、今回の採用で必要な人物像を定め、できるだけ言語化します。キャッチフレーズのようなシンプルな言語化は伝わりやすいです。人物像の説明事項として、要件を具体化、数値化して箇条書きに整理しておきましょう。

採用で求める人物像(ペルソナ)を伝わりやすくする言い換えの例

求める人物像(ペルソナ)として「提案型の営業ができる人」だとします。

これは言い換えれば「アイディアをもとにチームで顧客に向き合える」とできます。

また、「継続的な取引のある顧客との対応ができる人」とした場合は「相手の立場にたって細かい点に気が付き配慮ができる人」とも言い換えられます。

ルーティンな確認作業を正確にこなす人」であれば、「緻密な作業が得意な人」とも言い換えることができます。

プロジェクトリーダー」を求めるのであれば「率先して行動でき、失敗を恐れずリーダーシップを発揮できる人」となります。

企画開発能力が備わった人」であれば「前例にとわわれず、新しいことが好きで問題意識をもって自分の言葉で表現し行動する人」でもいいでしょう。

できるだけかみ砕いて、わかりやすい言葉で表現することが大事です。

採用で求める人物像(ペルソナ)の書き方はできるだけ細分化する

求める人物像で上位にあがってくる要素のひとつに「コミュニケーション能力がある人」があります。

企業であれば社員が備える能力に「コミュニケーション能力」いわゆる「コミュ力」を必要としない企業はほとんどないのではないでしょうか?

では「コミュニケーション能力」といってもやや漠然としています。

コミュニケーション範囲が企業内なのか、もっと狭い部署内なのか、それとも自社だけでなく顧客や下請け企業や取引関係にない社外や行政当局など幅広い範囲でのコミュニケーション能力なのか、求めるコミュニケーション能力の質が変わってきます。

求める人物像を定めるとき、範囲が広い要件は細分化しましょう。

「コミュニケーション能力のある人」細分化した書き方

求められるコミュニケーションの範囲が部署内から、最もタフな交渉が要求されるトラブル対応まで、順を追ってコミュニケーション能力を細分化してみます。

  • 「同僚と日常的な会話や業務の会話を円滑にできる人」
  • 「長年の顧客と継続的に会話ができる人」
  • 「初めての相手とでも仲良くなるコミュニケーションができる人」
  • 「利害関係で対立する顧客とも交渉するコミュニケーションができる人」
  • 「顧客の意見やクレームを冷静に誠実に受け止め、こちらの主張も伝えるコミュニケーションができる人」

求める人物の配属が予想される部署によって「コミュニケーション能力」の質が変わってくるので、能力の質を具体的に検討しておきましょう。

求める人物像(ペルソナ)の定め方テンプレート

求める人物像は「ペルソナ」とも言われています。

ペルソナテンプレートのダウンロードはこちら。

採用で求める人物像(ペルソナ)を選ぶ基準と評価方法は

面接ではとかく主観的な判断にとらわれがちです。

「元気がある」「いいやつだ」「話していることが分かりやすい」・・・。

こうした就活生を高く評価してしまいがちですが、こうした評価は面接官の主観に基づく印象が評価材料となっていて、とても確たる客観的基準でなされたものではありません。

ある面接官は「元気な学生」と評価してもある面接官は「落ち着きがない」とマイナス評価をつけるかもしれません。

こうなると就活生の評価は面接官の社内での影響力で決まってしまい、「求める人物像」に合致した就活生を採るというミッションから離れてしまう可能性が高まります。

仮に就活生が評価通りの「元気な学生」だとしても、「元気な学生」が入社後にパフォーマンスを発揮するとは限りません。

ではどうしたらいいのでしょうか。

求める人物像の基準と評価方法は事実確認法

就活生の意見や考え方ではなく「行動」や「事実」に評価基準を置くことです

就活生の意見や評論を聞くのではなく、自らの「経験」や「体験」を述べさせ、得られた「成果」に対してどのような「行動」をとったのかを徹底的に聞き出します。

いくら就活生の「意見」や「考え方」を聞いても、入社してからそのような行動をとる保証はありません。

まして、就活のノウハウが簡単に手に入る時代ですから、面接受けする回答を用意してくるでしょう。

しかし、過去の事実は変えようがなく、過去の事実と行動を掘り下げていけば、面接用に用意した答えなどはすぐに破綻してしまいます。

そこには厳然たる事実が浮かび上がり、面接官の主観に基づく評価は入りこむことは少なくなります。

つぎに就活生から聞き出した「成果」を基準とする評価方法です。

その「成果」が仮に同じ状況になったとして再現可能な「成果」なのか、それとも偶発的な「成果」なのかを見極めます。

再現可能な「成果」であれば、入社後に困難な課題に直面したときも乗り越える可能性がありますが、再現不可能な成果であれば、成果が就活生の能力に基づくものではないので再現を期待することは難しいです。

得られた「成果」に対し、就活生が能動的に取り組んだのか受動的に取り組んだのか、判断をどのように下し、どのような行動をとったか、詳しく聞き出して評価しましょう。

採用で求める人物像(ペルソナ)にあてはまらない場合はどうする?

求める人物像(ペルソナ)に合致する人材が採用できれば、採用ミッションは完遂されたことになります。

しかし、必ずしも求める人物像(ペルソナ)に合致した就活生が応募してくれるとは限りません

10年以上採用を担当してきて、内定者全体に占める求める人物像(ペルソナ)に合致したか及第点に達していた内定者の割合は40%程度です。

残り60%は求める人物像(ペルソナ)の要件をいくつかは満たしていましたが、不十分なところがいくつかあり、声の大きい役員の一声で決まった、もしくは抽象的な評価要素の印象が強く、そこに引っ張られて内定に至ったというケースなどでした。

求める人物像(ペルソナ)に合致した社員と、そうでない社員の入社後の活躍度合いや社へのマッチング度合いを比較すると、求める人物像に合致した社員のほうが活躍し社にマッチしています。

もちろん合致していなくても活躍している社員は大勢いますが、離職率は合致していない社員のほうが多い傾向にあります

どうしても求める人物像(ペルソナ)に完全に合致した採用には至らないものですが、できるだけ求める人物像に合致する内定者を多くすることを目指しましょう。

求める人物像に当てはまらない就活生の中から選ばなければならないときは、求める人物像の人物要件のなかで、優先順位の高いものでより評価されている就活生を選択しましょう。

採用で求める人物像の決め方と評価方法 まとめ

1 経営理念、経営ビジョンその他の要素を取材し、要件に優先順位をつけて具体的な人物像を定める

2 求める人物像は細分化し具体的に言語化

3 評価する際は行動と事実を掘り下げて評価する

最後まで読んでいただきありがとうございます。

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この記事を書いた人

社労士資格をもつ大手企業人事部管理職・工藤です。10年以上新卒採用と中途採用を担当した経験から採用のお手伝いをします。

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