採用でのミスマッチを防ぐ効果がある座談会の進め方と効果的な質問例

採用活動の一環に座談会を設けている企業は多いです。

コロナ禍以前であればリアルでの座談会、コロナ禍ではリアル開催ができずWEB開催に切り替えている会社も多いですが、コロナ禍以外の理由で座談会をとりやめた会社は少数派です。

では、なぜ座談会には根強い人気があるのでしょうか?

そこには企業側、学生側、双方に気づきと学びがあり、採用でのミスマッチを防ぎ新入社員のパフォーマンス発揮を促す効果があるからです。

しかし、効果を生み出す座談会には正しい目的設定と事務方の準備と司会のディレクションが重要になってきます。

この記事では正しい座談会の進め方を10年以上新卒採用と中途採用を担当している社会保険労務士資格を持つ大手企業の人事部管理職が解説します。

目次

採用でのミスマッチの原因は?

採用でのミスマッチは、企業側が必要としている人物像と新入社員が合っていない、新入社員が認識していた企業像と企業の実像がかけ離れていた、このどちらか、もしくは両方ということになります。

なぜこのようなことが起きるのか。以下の原因が考えられます

採用でのミスマッチの原因 企業側

  1. 企業の実像を隠して採用活動を行う
  2. 意図的に隠していないが企業の姿を十分に伝えきれなかった
  3. 企業広報で良い面だけを強調していた

1はいわゆるブラック企業に多いパターンですが、よい人材に来てもらいたいがために、就活生に悪印象を与えてしまうと思われることは積極的に広報しないということはよくあります。

このような場合もミスマッチの原因になりますので、質問されたら正確に答える、正確で嘘にならない範囲で文章の書き方や答え方などを十分に吟味しましょう

2は採用の各フェイズでは選考が主目的になり、就活生への理解はその次になってしまいがちです。

採用の事務方である人事部や面接官も忙しいので、滞りなく面接をすすめることが第一になり、就活生とのコミュニケーションの機会は限定的になり、必然的に企業の姿を知って理解してもらう機会は少なくなります。

3は採用HPやSNSでの発信、採用サイトへの出稿など多くの広報手段はありますが、採用担当者のホンネとして見栄えをよくしたくなるものです

嘘や偽りはないですが、対外的に誇れる部分を強調して発信してしまうので、発信しきれない部分は残されてしまい、ミスマッチの原因になる可能性が生じます。

採用でのミスマッチの原因 就活生側

  1. 内定を得るために自分を過剰に演出
  2. 自己表現が不十分
  3. 疑問を解消せずに入社

1について、就活生にとって内定を取ることはとても重要です。

まず内定をとるために自分をよく見せようとすることは当たり前に行われています。

ただ、よく見せようとし過ぎるあまり、本来の自分らしさからかけ離れた人物像にしてしまうと、運よく内定を勝ち取って入社してもその後のミスマッチにつながり、期待されているパフォーマンスを発揮できないことになりかねません。

自分らしさのベクトル上にある表現はありですが、方向性の違うものや、自分のなかでは特徴的ではない部分をことさら強調するのはミスマッチの原因になります。

企業側には就活生が本来持っている姿なのか、それとも過剰な表現なのか見極める力が問われます

2については、就活生の表現力の問題です。

得意不得意があるので、就活生はできるだけ表現力をつけるトレーニングが必要です。

一方企業側は就活生の表現を注意深く観察し、目立たないけど優れた部分を見つけてあげることが大切です。

3については、説明会などで質問する機会があっても、知りたいことや疑問を質問せずに、企業の実像を知らずに入社してしまった場合です。

積極質問は企業側からの印象もよくなりますので、疑問があれば早めに解消してしまうことが入社後のミスマッチを防ぎます。

採用での座談会には入社後のミスマッチを防ぐ効果がある

売り手市場となっている就活において、優秀な学生はいくつもの内定を勝ち取ります。

最終選考を終えて企業が内定者を選びますが、ひとたび内定を出すと内定者から選んでもらうフェイズに移行します。

企業は内定を出した学生に入社してもらい、ミスマッチなくパフォーマンスを発揮してもらいたい、

一方複数の内定を持っている就活生は、就活のプロセスや企業研究などを踏まえて入社する企業を選びます。

企業側は選んだ学生が社にマッチするかを見極める、就活生は自分がこの会社で活躍できるか判断する、そのためには採用段階での相互理解が重要になります。

そのため座談会が果たす役割は大きくなるのです。

企業側は、座談会という面接ではない場での就活生の発言や振る舞いで、ホンネや人間性を知るチャンスを得ます。

同時に、面接などの場では伝えきれない企業の長所や短所も含めて企業像を伝えることができます。

一方就活生は、座談会に参加している若手社員との対話のなかで、面接や説明会では知りえない企業の雰囲気やリアルな仕事のやり方を知ることができます。

お互いの理解が深まったうえでの内定→入社であれば、ミスマッチが起きる可能性は低くすることができます。

座談会は企業側と就活生の相互理解につながるいわば「お見合い」のような機会でもあります

採用での座談会、相互理解が進む進め方

座談会が成功するには進め方が大事です。

以下、順を追って説明します。

採用での座談会のテーマ設定

座談会ではテーマを明確にしておかないと、ただのおしゃべりタイムになってしまいます

就活生に何を知ってもらいたいのかを定めて、企業側の参加社員と共有しておきましょう。

  1. 会社全体のことを知ってもらう
  2. 働いている社員像を知ってもらう
  3. 個別部署の仕事内容を知ってもらう
  4. 入社後のキャリアパスのイメージをもってもらう

上記以外にもさまざまありますが、きちんとテーマを決めて、複数のテーマにする場合は時間を区切るなど、何を話すのかを整理しておきます。

座談会の進め方①参加社員の選抜

テーマを定めて、テーマにふさわしい社員を選ぶか、それとも就活生に会わせるのにふさわしい社員を選び出しその社員が得意とする分野からテーマを選ぶかのどちらかになります。

どちらでもいいですが、社員の顔ぶれと会社が伝えたいことによって決めていくといいです。

参加就活生に資料を事前に配布しておきましょう。

参加社員のプロフィールや、当日の議題を伝えておくと意識の高い就活生は質問を考えてきます。

また、後に説明する効果的な質問例に誘導できるような資料を送るといいでしょう。

座談会の進め方②司会者の選定と進行のポイント

多くの場合採用担当者が司会を務める場合がありますが、そうでない場合もあります。

経験としては採用担当者と明かして司会をするより、採用担当ではない社員が進行したほうが会話が弾む傾向がありました。

ひとつのテーマで就活生が一回以上は発言できる時間と進行を心掛けましょう。

就活生には一回以上の発言機会を設けますが、できるだけ質問させるように発言を促しましょう。

発言によって就活生のホンネや人間性が透けてみえてきやすくなります。

また、予想される質問には想定問答集を用意して、参加社員には目を通しておいてもらいましょう。

質問によっては公式回答をしなければならないものもあるので、そういった類の質問は回答を揃えておいたほうが当日に混乱しなくなります。

最悪なのは、参加社員の答えを後から採用担当が修正する場合です。

就活生からは人事セクションの締め付けが厳しい企業ととらえられますし、参加社員の気分を害することになります。

採用での座談会、ミスマッチ防止につながる質問例

座談会での質問例です

仕事に関する質問

就活生は自分が働いた場合、仕事をしている自分の姿がイメージできるような質問をする傾向があります。

  • これまで成功した仕事と失敗した仕事はなんですか?
  • ある一日のスケジュールを教えてください

社風に関する質問

入社後の多くの時間を過ごす会社の雰囲気や、仕事をすすめるにあたっての企業文化に関する質問です。

  • 会社の雰囲気は一言でいうとどのような雰囲気ですか?
  • 同じ部署や他部署との社員間の交流は?

社員の個性に関する質問

入社して活躍するタイプが自分に合っているか、そうでないのかを知る質問です

  • 一緒に働きたい社員像
  • 活躍している社員のタイプ

採用での座談会 質問しない就活生への社員側の対応

質問を促しても的を得た質問をしない就活生はいます。

この場合、無理に質問させることは避けましょう。

意欲が薄い場合と、しっかり考えてから質問したいタイプもあります。

「あとでまた質問の機会をとりますね」と伝えて座談会を進行させましょう。

採用での座談会 就活生の服装は?

スーツを避けたほうがいいでしょう。

参加する社員をノーネクタイにしてカジュアルな雰囲気づくりを心掛けると座談会も盛り上がりますし、就活生の個性も見えます。

ただ服装は自由とだけかくと9割以上はスーツを着てきます。

なので、スーツは禁止、平服で来てくださいと明記しましょう。

採用での座談会 まとめ

  1. 入社後のミスマッチを防ぐために座談会は重要
  2. 事前のテーマ設定と参加社員の厳選、事前資料配布で質問を誘導するのがポイント
  3. 効果的な質問例がでるような司会進行を

最後まで読んでいただきありがとうございます。

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この記事を書いた人

社労士資格をもつ大手企業人事部管理職・工藤です。10年以上新卒採用と中途採用を担当した経験から採用のお手伝いをします。

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