採用の筆記試験で作文を課す企業が増えています。
世の中にはエントリーシートの書き方や面接の突破法、適性検査の対策までもが溢れていて、オーソドックスな採用手法だけでは人物が見抜けにくくなっているからです。
そこで知識量や文章力、教養、性格も見極められるとして、いささか古めかしいとされる作文が見直されています。
作文は採用の最終選考に近い段階で取り入れられることが多く、作文を含むフェイズを乗り越えたら最終面接となる場合が多いでしょう。
作文は苦手、そもそもスマホで文字は打ち込んでいるけど、実際に文章を書くことはほとんどない、そんな作文が苦手な人も多いと思います。
マスコミ系企業でコンテンツを制作し採用担当になって10年以上新卒と中途採用の作文テーマを決めて、応募者の作文を年間100本以上を読んでいる経験から、選考での作文のシンプルな書き方を社会保険労務士資格を持つ大手企業の人事部管理職が解説します。
就活生必見、なぜ採用で作文が取り入れられるのか
作文からは様々なことが読み取ることができます。
例えばテーマとして「時事問題」を設定した場合、まず日頃から社会問題に関心を持っているか、ニュースに接しているとしても、自分好みのニュースだけに触れているのか?それとも幅広く好奇心をもって知ることを心掛けているのかがわかります。
書く内容で思想や考え方、倫理観もわかります。
文書から語彙力、漢字能力、論理性、説得力、文章力などが明らかになります。
多様な言葉を知っているか、漢字が正しく書けるか、理路整然としているか、説得力があるか、誤字脱字なく文章が書けるか、教養を持っているのか、基礎的な教育をしっかり受けているのかがわかります。
もちろん書いている内容から人間性がわかりますし、文字からは性格も読み取れます。
そして作文を書き終えた後、消しゴムのかすなどをきちんとまとめてゴミ箱に捨てるか、それとも机に残すのかで躾まで見てとれます。
このような多面的な就活生の姿を知ることができるので作文を見直す動きがでているのです。
これらのことは、一夜漬けでは対応は難しいですが、時間をかければトレーニングは可能です。
そして一夜漬けではないので、トレーニングを積むことで人間性や教養に厚みをもたせることができるようになります。
採用の作文で設定されやすいテーマと対策 必ず原稿用紙に書く
- 一年以内に印象に残ったニュースとそのことについてどう思うか
- あなたが陥った最大のピンチと、どうピンチを抜け出したのか
- 感動した出来事とその理由
- 家族や友人について
- 入社して5年後の自分について
- 自分を変えた出来事について
- あなたが大切にしていることについて
- 過去の自分へ伝えたいこと
これらのテーマについて日頃から書く内容を考えておいて、その理由までも整理しておきましょう。
大切なことは、必ず文章にすることです、頭で整理できていても文字に書きおこさないと意味はありません。
スマホのメモ機能で書くだけでも効果はありますが、必ず時間をとってノートや原稿用紙に手書きしましょう。
原稿用紙に文字を書くことで字が整っていきます。
文字にしたら必ず読み返しましょう。
読み返してみると、読みにくかったり誤字脱字がみえてきます。
そこでリライトして正確でわかりやすい文章まで書けばOKです。
書く内容ですが、攻撃的な内容や過激な思想信条、否定的な内容は避け、ネガティブではなくポジティブな結論に持っていくことを心掛けてください。
学生時代に力をいれたこと、いわゆる「ガクチカ」をテーマに設定されることもありますが、面接対策でもまとめておく必要があるので、文章にして書き留めておきます。
一方、企業側は作文で「ガクチカ」を書かせると、面接で同じことを聞くと重複してしまいますので、面接での主要な質問は作文テーマから外すほうがいいでしょう。
SNSで書く短文ではなく長文を構成する力をつけましょう
採用での作文の書き方 「パワーキーワード」設定法
私が採用を担当する前、マスコミ系企業でコンテンツ制作をしていた当時、キャッチコピーから長文まで執筆していたころの門外不出の書き方を公開します。
採用の作文テクニック・パワーキーワードを決める
パワーキーワードとは、自分が書きたい内容に合った言葉のなかで強く印象に残るワードです。
例えば、時事問題の作文で介護や看護をテーマにした場合に「ヤングケアラー」(※)というパワーキーワードを据えます。
「ヤングケアラー」を文章の核とし、「ヤングケアラーを救う」が作文の骨子となります。
そしてパワーキーワードを補完するサブキーワードを考えます。
「介護などを担う子供」「学業の両立が困難」「精神的に不安定」「潜在化」「学校が最後の砦」「支援体制は脆弱」「小さな体に閉じ込めた孤独」など、パワーキーワードを説明・補完し採点者になげかける言葉です。
※家族にケアを要する人がいる場合に、大人が担うようなケアの責任を引き受け、家事や家族の世話、介護、感情面のサポートなどを行っている18歳未満の子どもを指す。
採用の作文テクニック・パワーキーワードを活かす起承転結を構成する
パワーキーワードが決まり、サブキーワードを組み込み起承転結を考えながら並べていくだけで文章の要旨が定まります。
「ヤングケアラーといわれる人がいます。介護などを担う子供です。学業との両立が困難で時に精神的に不安定になりがちとされています。その存在は潜在化しがちで支援体制は脆弱で、学校が最後の砦ともいわれています。 小さな体に閉じ込めた孤独を救う体制整備が必要 です」
ここまでで起承転結が完成します。
「起」ヤングケアラーといわれる人がいます。介護などを担う子供です。
「承」学業との両立が困難で時に精神的に不安定になりがち。
「転」存在は潜在化しがちで支援体制は脆弱で、学校が最後の砦ともいわれています。
「結」小さな体に閉じ込めた孤独を救う体制整備が必要
あとは、起承転結の各パートを肉付けしていくだけで完成です。
起承転結は就活の作文だけでなく、文章を書く基本です
採用での作文・パワーキーワードを決めるための準備
日頃からトレーニングを重ねて語彙を増やしておかないとパワーキーワードは簡単には決まりません。
採用での作文対策で日頃心掛けておくことをまとめます。
1 新聞、テレビ、雑誌、ニュースサイトなどで言葉のアンテナを広げておく
2 日常生活で感じること、考えたことを端的に表す言葉を探す習慣をつける
3 本を読み語彙を増やす
このテクニックは就活での作文だけにとどまらず、社会人になってからもあらゆる場面で求められる作文に応用できるテクニックです。
採用での作文 高評価につながる書き出しの例文
ここまででできれば就活での作文では十分に合格点に達します。
なぜなら、毎年選考の最終段階の1段階前に到達している100人以上就活生の作文を採点しますが、印象的なワードがはいって起承転結を踏まえた作文は10パーセント程度だからです。
より高評価につながるには、キャッチ―なフレーズを冒頭に書くことです。
先ほどの「ヤングケアラー」の作文を例に考えます。
オーソドックスな書き出しは「ヤングケアラーという人がいます~」になります。
一工夫加えて
毎日、おじいちゃんの介護をしながら食事の用意や家事に追われる人がいます、それは私の家の隣に住む13歳の美穂ちゃんです
こうすると、介護と13歳の女の子とのギャップ、筆者の身近な実体験に基づく話という2点で読者を引き寄せます。
ギャップなどの振れ幅と、実体験に基づくリアルさ、こうした点を盛り込んだ一文を冒頭に書くようにしましょう。
ここまでの文章が書けたら、作文の後に面接があれば面接での質問に誘導することができて、答えを用意して臨むことができます。
就活生必見!採用での作文 まとめ
- 採用で作文を取り入れる企業は増加中
- 準備とトレーニングで高評価獲得可能
- パワーキーワード法で採点者の心をつかむ作文を
- キャッチ―な冒頭文でさらに高得点
最後まで読んでいただきありがとうございます。
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