採用「募集要項」新卒と中途採用の書き方の違いは?テンプレートも公開

人を採用するときにまず定めるのは「募集要項」です。

募集要項」とは新卒でも中途でも就職しようとしている人が、はじめに目にするものです。

法律で書いてはいけないことが定められており、就職しようとしている人が知りたい情報や伝えなければならない情報を法律に則って正確に確実に伝えなければなりません。

同時に、アピールポイントを盛り込んで「入社したい!」と思わせる内容にする、いわば企業から求職者への「ラブレター」のようなものです。

募集要項がしっかり定まると、採用の前段階になる「母集団形成」にもつながります。

この記事では新卒と中途採用での「募集要項」の書き方を、10年以上採用に関わっている社会保険労務士資格を持つ大手企業の人事部管理職がわかりやすく解説します。

目次

新卒採用での「募集要項」の書き方

まず「募集要項」をめぐる求職者の反応です。

よく募集に「本校規定」ってあるけど、私が知りたいのはそこなんだよー!あと、日本語教師の求人って、日本語教師が書いたかどうかってすぐわかる。いえ、別に違ってもいいんですが、募集要項の内容というより書き方で雰囲気ってけっこうわかるよね。

— 嘉成晴香☀️新刊『人魚の夏』 (@kanariharuka) August 30, 2020

募集要項」では企業が伝えたいことと、求職者が知りたいことをストレスなく正確に伝わるように書く必要があります。

まず、法律で書いてはいけないことを整理します。

採用における「募集要項」の書き方 法律の禁止事項

募集要項」に書いていけないことは「労働基準法」「男女雇用機会均等法」「最低賃金法」「雇用対策法」「職業安定法」によって定められています。
これらの知識がないと、法律違反やモラル違反の表記となる場合があるので十分に注意しましょう。

  • 年齢を制限する表現
  • 性別を制限する表現
  • 適性と能力に関係のない事項による制限や差別となる表現

年齢制限を設けることは禁止されていますが、いくつか例外があります。

雇用対策法施行規則」で定められている例外事由に基づき、年齢制限が認められるケースがあります。

一般企業の求人で例外が認められるものの中で主なものは期間の定めのない(定年までの雇用を前提)にした採用の場合です。

採用で年齢制限を設ける場合の記載例

募集条件35歳以下※新卒者などを一括採用し長期間雇用継続するなかで、長期間のキャリア形成を図るため。

このように記載しておくと法律に抵触することはありません。

性別の制限と適性と能力に関係のない事項による制限や差別の表現

「男性または女性のみを採用する/採用しない」という趣旨の記載は男女雇用機会均等法に抵触します。

「女性限定」「退職する男性社員の後任のため男性のみ」といった表現がそれに該当します。

また、性別を暗に限定してしまう表現も禁止されています。
間違いやすい性差別表現として、「看護さん」「保さん」「セールスマン」「カメラマン」などがあります。

「婦」「母」「マン」の表現が性別を特定することになるます。

それぞれ「看護」「保育」「営業」「カメラオペレーター」などの表現にしなければなりません。

採用での性別の制限 例外もあります

仕事の性質上、どちらかの性別でなければならない理由がある場合は「適用除外職種」として例外が認められます。

<適用除外職種の例>

女優、モデル(男性)
男性守衛、現金輸送車の警備員(男性のみ)
巫女、女性更衣室の係員(女性のみ)
重量物運搬(男性のみ) など

採用で適性と能力に関係のない事項による制限や差別となる表現

厚生省が定めるのは以下の事例です。

・本籍・出生地に関すること
・家族に関すること
・住宅状況に関すること
・生活環境・家庭環境などに関すること
<思想信条にかかわる事項>
・宗教に関すること
・支持政党に関すること
・人生観、生活信条に関すること
・尊敬する人物に関すること
・思想に関すること
・労働組合に関する情報(加入状況や活動歴など)、学生運動など社会運動に関すること
・購読新聞・雑誌・愛読書などに関すること
<採用選考の方法>
・身元調査などの実施
・合理的・客観的に必要性が認められない採用選考時の健康診断の実施

これらのことは募集要項に記載してはいけないだけでなく、採用の段階でもこうした質問をしてはいけません。

採用の「募集要項」に欠かせない事項

募集要項に書く必要がある事項です。

まず求職者が自分が働いているイメージを具体的に描きやすくする内容にしましょう。

例えば「朝は7時におきて、通勤30分で9時に到着、得意先をまわって、昼は社員食堂で昼食、週に5時間くらいは残業があって土日は休む」月収は@十万・・」

求職者が入社後の毎日が思い描けるような情報を書くことが大切です。

職種(例)営業職
業務内容(例)ルート営業で顧客への提案や受注、納品等もあります
給与、賞与、諸手当(例)基本給20万 賞与年2回 住宅手当、扶養手当等 時間外手当支給
福利厚生(例)慶弔休暇、休憩室、社員食堂

健康保険、厚生年金 雇用・労災保険完備

勤務地具体的に記載しましょう。曖昧な表現はトラブルになります

※転勤がある場合は明記

勤務時間(例)午前9時~午後5時 1時間休憩
契約期間(例)期間の定めなし (例)@@年@月@日~@@年@月@日 延長あり
試用期間(例)採用後1か月は試用期間(試用期間も給与は変わらず)
就業場所(例)@@営業所(住所も記載)
労働時間(例)週35時間 完全週休2日制 残業は月に20時間程度(手当支給)

簡潔に具体的に正確に記載することが大切です。

気持ちが伝わる採用の「募集要項」の書き方

人材を必要としている思いの強さが伝わることが大切です。

具体的にはどんな人が来てほしいのか、そこを明確に丁寧に書きましょう。

  • どのような人材を募集しているか明確に (経理部でも決算業務なのか、財務部門か)
  • 企業の持つ強みをアピールする (給与、福利厚生、業界内での位置付け等)
  • 具体的な数字で表現(シェア第一位!)
  • 応募者のメリットを提示 (入社して得られること、経理スキル?人事スキル?)
  • 応募するハードルを下げる(教育研修の有無、前任者との引継ぎ期間等)
  • 漢字だけでなくカタカナ、ひらがなで (営業職→セールスアドバイザーなど言い換え、カタカタ、ひらがなでの表現)
  • 同業他社より優れている点をアピール(労働条件で優れている点をアピール 有給休暇取得率、男性育児休業取得率 等)
  • 職場環境(男女比、来客対応の有無、コンビニが近いか、冷暖房、休憩室の有無)

採用で使える「募集要項」テンプレート公開

募集要項テンプレート

自社の事情にあわせてアレンジしてください。

採用の「募集要項」の書き方 まとめ

1 年齢制限、性別制限、適性能力に関係ない制限は書いてはいけないが例外もある

2 記載内容は簡潔に正確に

3 募集要項は企業から求職者へのラブレター

最後まで読んでいただきありがとうございます。

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この記事を書いた人

社労士資格をもつ大手企業人事部管理職・工藤です。10年以上新卒採用と中途採用を担当した経験から採用のお手伝いをします。

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